■■■ 「說文解字」 卷十三を眺める[11]  ■■■
巻十三は、「詩経」句の8文字引用が目を引く。
  𧒘螟𧕅有子 𧒘蠃負之

異体字だけ表示するなら、四言で必要十分。わざわざ、なんのために、・・・。
比較的知られた詩である。
  螟蛉有子 蜾蠃負之 [小雅 小宛]

蜾蠃=似我蜂(土蜂)が、蛾の幼虫である生きた青蟲を地中の巣に運び入れる習性を詠んだのだが、その持ち込んだ巣から幼蜂が羽化していくということで、間違った生態を想像している。
このため昆虫話では、結構、取り上げられることが多い。
・・蛾の幼虫は子の餌であることが知られているが、この詩では養子育成の振舞いとされているとのお話に仕立て上げられているからだ。

この蜂は肉食なので、現代社会では珍しく感じてしまうが、どこでも見かける種で、巣堀も当たり前の様に行われていた筈。当然ながら、この蜂の観察者はそこら中に居た訳で、誰も生態を知らなかったとは考えづらい。

おそらく、大御所の説を壊す訳にはいかないというに過ぎまい。
儒教国では、発言を咎められでもしたら、命の危険に晒されかねないから、些末なことに触れないのは処世術として当たり前。
この蜂は、なんであろうと、食べ尽くしかねない人々の国での益虫である。食用にさせないようにするため、民に教養蜂として大切にするようにと御触れを出すためのお話として大事にして来たということだろう。
「說文解字」はその辺りを意識していた可能性もあろう。


絿絿
素以爲絢兮聲 ⇒絢兮何謂也
成是貝錦
縞衣綥巾 ⇒綦
𦃖毳衣如𦃖 ⇒菼
素衣其紑 ⇒絲
貝胄朱綅
蒙彼縐絺
六轡如絲
胡爲虺蜥 ⇒蜴
去其螟蟘 ⇒螣
蜎蜎者蜀 ⇒蠋
𧒘螟𧕅有子 𧒘蠃負之 ⇒螟蛉有子 蜾蠃負之
五月鳴蜩
𪓿得此𪓰𪓿 ⇒戚施
武王載坺 ⇒斾
崇墉圪ऊ ⇒仡仡
蜉蝣堀閱
宛在水中坻
乘彼垝垣
 ⇒副
㙪㙪其陰
鸛鳴于垤
天方薦㽥 ⇒瘥
町疃鹿場
莫知我勩

糸素絲率虫䖵蟲風它龜黽卵二土垚堇里田畕黃男力 

│ 巻十二

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⑫⑫⑫
弓甾曲
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⑬⑬
弜弦
┌┘

│ 巻十三

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②②②
素絲率
┌─┘

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④④④④
䖵蟲風它
┌──┘
├┐
⑤⑤
龜黽



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  巻一

│   巻十三

├─────── ⇒巻十四

├┬┬───── ⇒巻十四
③③③
垚堇里
┌─┘

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⑤⑤⑤
畕黃男

     

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