■■■ 「說文解字」 卷十-火  ■■■
 

豕→①能─②熊④炎─

[脚]と灬[連火]に差異がありそうにも思えるが、どうなのだろうか。
"火"の字義はburn up and then burn dowmということのようだが、部首に属す文字を見ると、概念はかなり広がっているようだ。
(コンポーネントが2つあると、どちらの部首に属すのか、裁定は難しい。・・・e.g. 秌 秋 𤇫 𤇕)

・・・これが第一印象だが、同時に、違う想いも。

「說文解字」の"火 焱 炙"部所収文字数は120字に達していない。現代の1万字を越える漢和辞典では200字近くなるのだから、網羅的に見えてもこの程度。成立年代では一番近い残存漢籍「大廣益會玉篇」三十卷 五百四十二部(16,917字)@543年だと300近くに達している。
要するに、漢字の造字活動は止むことがなく営々と続いている訳で、「說文解字」はその一断面を見せてくれているだけのこと。

ここを踏まえて眺めないと。

そういう意味で、[三火]を別部首にしている点は特筆もの。
:火華[三火]
 熒:屋下鐙燭之光[焱+冂]
 燊:盛皃[焱在木上]

要するに、熒とは、𤇾の冖を冂に拡張して、3火としたというのが、「說文解字」の見立て。
一見、もっともらしいが、甲骨・金文から判断すると、誤謬ということになる。2火でしかない文字だからだ。
つまり、乂が冂に変化したというのが実態。
前者は火炬の交織の象形。

文字論を展開するなら、極めて重要で画期的な指摘。
しかし、「說文解字」はもともと甲骨を文字として認知していないし、目的は儒教秩序での文字宇宙の提示にあるから、そうなっても当たり前とも言える。従って、その手の誤謬が発生していると総括したところで、実はたいした意味はない。
それは、誰が見ても熒は3火であり、2火ではないからだ。ここには明らかに字義上の断絶が見て取れると総括すべきと思う。元義は交織する火炬だが、この文字の原義は<火華>と見るのは間違いとは言いかねる。

松明を交叉させる意味はよく分からないが、独特の風情を醸し出していることは間違いなく、乂が冂に変化するということは、疑似的な門の役割を果たしている様にも思える。両側に松明があって、さらに、門前には焚火という風景。「說文解字」は門ではなく家屋と。欄干に松明が並び入口にも煌々と炎が立ち上がっているのだろう。お水取り行事を彷彿させる文字でもある。

「說文解字」はその点でよくできていて、門内に火に見える文字が別途収録されている。
:火皃[火+𨳌省]聲
日本流に情緒的に解釈すれば、送り火文字となろう。しかし、それは根本的な見誤り。これは、門に見えても門ではないと記載されているからだ。
門の場合は異なる文字がある。
:火門[火+閻]聲

:燬 南方之行 炎而上[象形]
:上諱
𤈦:火[火+尾]聲
:火[火+毀]聲
:火[火+豩]聲
:然火[火+歉聲
:柴祭天[火+眘 眘…古文愼字 祭天所以愼]
:燒[火+肰]聲
:燒[火+蓺]聲
:爇[火+番]聲
:爇[火+堯]聲
:火猛[火+𠛱]聲
:火光[火+出]聲
:熚𤒓 火皃[火+畢]聲
𤒓:熚𤒓[火+𢨋 𢨋…籒文悖字]聲
:火气上行[火+丞]聲
:烝[火+孚]聲
:烝[火+昫]聲
:乾皃[火+漢省]聲
:火皃[火+弗]聲
:火皃[火+翏]聲
:火皃[火+𨳌省]聲
:火色[火+雁]聲
:火光[火+頃]聲
:火飛[火+龠]聲
:火飛[火+㶾]聲
:火熱[火+高]聲
:交木然[火+交]聲
:小熱[火+干]聲
:所以然持火[火+焦]聲
:燒木餘[火+岸省]聲
𤈩:束炭[火+差省]聲
𤉧:交灼木[火+教省]聲
:火气[火+犮]聲
:死火餘㶳[火+又 又…手 火旣滅 可以執持]
:灰 炱煤[火+台]聲
:盆中火[火+畏]聲
:畜火[火+息]聲亦曰滅火
:行竈[火+圭]聲
:烓[火+甚]聲
:炊[火+單]聲
:爨[火+吹省]聲
:ォ[火+共]聲
:炊餔疾[火+齊]聲
:炙[火+喜]聲
:熬[火+前]聲
:乾煎[火+敖]聲
:毛炙肉[火+包]聲
𤇯:炮肉 以微火溫肉[火+衣]聲
𤎯:置魚筩中炙[火+曾]聲
𤐸:以火乾肉[火+稫]聲
:灼[火+暴]聲
:炙燥[火+昜]聲
𤌍:灼[火+隺]聲
:孰[火+蘭]聲
𤓒:爛[火+靡]聲
:从上案下[𡰥 又持火 以尉申従
𤒅:灼龜不兆[火+从龜]
:灼[火+久]聲
:炙[火+勺]聲
:鑠治金[火+柬]聲
:庭燎 火燭[火+蜀]聲
:然麻蒸[火+悤]聲
:燭㶳[火+也]聲
:火餘[火+聿]聲
:堅刀刃[火+卒]聲
:屈申木[火+柔]聲
:燒田[火+棥]聲
:火煣車網絕[火+兼]聲
:放火[火+ォ]聲
𤐫:火飛[火+與𠨧同意]
:焦[火+曹]聲
𤓪:火所傷[火+雥]聲
:天火曰烖[火+𢦏]聲
:火气[火+垔]聲
:焆焆 煙皃[火+肙]聲
:鬱煙[火+𥁕]聲
𤈥:望火皃[火+皀]聲
:火熱[火+覃]聲
:明[火+𦎫]聲
:明[火+丙]聲
:明[火+卓]聲
:明[火+昭]聲
:盛赤[火+韋]聲
:盛火[火+多]
:盛光[火+習]聲
U:昱[火+c]聲
:照[火+翟]聲
W:光[火+軍]聲
:煌 W[火+皇]聲
:煌[火+昆]聲
:光[火+冋]聲
:盛[火+曅]聲
:火門[火+閻]聲
R:燿燿[火+玄]聲
:明[火+在人上 光明意]
:溫[火+埶]聲
:盛[火+戠]聲
:熱在中[火+奧]聲
:溫[火+爰]聲
:溫[火+耎]聲
Q:見[火+日]
:乾[火+亢]聲
:乾[火+喿]聲
𤇳:滅[火+戌 火死於戌 陽氣至戌而盡]
:旱气[火+告]聲
:溥覆照[火+壽]聲
:取火於日官名 舉火曰爟[火+雚]聲
:燧 𠊱表 邊有警則舉火[火+逢]聲
:苣火 祓[火+爵]聲
:暴乾火[火+彗]聲
:燥[火+巸]聲
:旱气[火+蟲]聲
:熾盛[火+扇]聲
:灼[火+各]聲
:灼爍 光[火+樂]聲
:燦爤 明瀞皃[火+粲]聲
:火光[火+奐]聲
     

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