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2000.6.14
 
 


第3世代携帯電話に向けたCDMAの動き…

 CDG(CDMA Development Group)の代表が、2000年3月30日に、これから中国市場でCDMAが急速に伸びると発言した。
 政府(Ministry of National Science TechnologyとMinistry of Information Industry)の肝いりで中国の9社がIntellectual Property Alliance of China 3G Mobile Communications R&D Projectを組織化してCDMA普及(W-CDMA、CDMA2000、TD-SCDMAの3方式)を検討してきたし、米国が中国の最恵国待遇を承認したから、一挙に浸透が進むと見ているようだ。(アジア地区加入者数は、すでに3,200万人。世界では5,700万人。)

 アジア市場の重要性は、業界の常識であるから、この動きが携帯電話標準の帰趨を決することになりそうだ。
 ITUの予測では(http://www.itu.int/imt/mkt_forecast.html)、2000年でEU、北米、アジア・パシフィックの携帯加入者数がほぼ互角だが、その後はEU、北米の伸びが鈍化し、アジア・パシフィックが急速に伸びる。その結果、EU+北米市場とアジア・パシフィック市場の比率は2005年頃に1:1、2015年頃には1:2になる。
 となると、アジアで主流になれば標準を制することができるといえよう。---それでは、どの技術が標準になるだろうか。

 日本企業の携帯関連技術は進んでおり、従来からの関係あるアジア内だから、標準化競争では優位に立てるという主張が多い。しかし、その根拠は意外と薄弱である。
 というのは、技術が優れているという「仮説」だけであり、次世代製品が市場登場している訳ではないからだ。特に、所要コストに関しては不透明である。既存サービスの代替が進めば、現存設備は不良資産になる。その除却損を入れても低額サービスは実現可能なのだろうか。
 いくら優れた技術でも、高額なサービスは普及が遅れる。先に走ることで標準化を狙うには、普及を急速に進める必要がある。先に普及させ、後続への変換バリアを高くすることで、先行者規格をロックインさせる方策だ。
 逆に、先行者規格の普及が遅れ、後発のメリットが魅力的なら、一挙に先行優位が崩れる。
 要は、先手必勝パターンがとれるかどうかだ。W-CDMA規格は、現段階で技術的に先行してはいるものの、PDC加入者が自動的にW-CDMAに移行するとは断言できまい。移行がスムースにいかなければ、W-CDMAはアジアの標準の地位をすべり落ちる可能性さえある。

 次世代規格のW-CDMAの問題は、現行PDC規格とは全く異なることだ。即ち、現行のPDC規格の携帯電話が爆発的に普及して、圧倒的なシェアを確保していても、次世代標準化で優位に立てる保証はない。現行の規格を抜本的に変えるのだから、利用者側から見れば、次世代はどの規格でも選べる。cdma2000と本格的な競争になる訳だ。
 ところが、CDMAoneには優位な点がある。現行規格から次世代へと、互換をとりながら発展できるのだ。少しでも既存のアセットを利用できるなら、投資額を圧縮できる。このコストメリットは大きい。しかも、連続性が確保できれば開発者の転用やソフト資産利用がしやすく、製品開発がスムースに進む。発揮機能の差が少ないなら、CDMAone系統が優位に立つ可能性は高い。(もっとも、もともとデジタル化が遅れている場合、設備投資はゼロベースで進める場合も多いから、必ずしもこのメリットが生かせるとは限らないが。)

 すでに、国内でもcdma2000同調の動きも出始めた。1,000万人の加入者を持つ韓国のSKテレコムも2000年末までに144kのcdma2000 1Xサービスを始めるという話しもある。

 QUALCOMMによれば、すでにMSM(Mobile Station Modem)だけで1億セットを出荷しているという。このアセットを活用していく方針だ。2000年3月23日の発表によれば、IS-95A/B MSM3xxx製品(高性能、低コスト化)、iMSMxxxx製品(1xMulti-CarrierとHigh Data Rate技術をベースとした第3世代への入り口品)、MSM5xxx製品(第3世代)の3本柱で開発を進めるという。
 現行CDMAoneサービスから、1x MCに移行することで(さらに3xとなるのだろう)ITUのIMT-2000に入る道筋を提起している訳だ。
 しかも、同社にはCDGという強固なバックアップ体制がある。CDGは、CDMAone標準化活動を通じて、通信回線の規格論義に留めず、総合的対応を進めてきた。メンバーは、キャリアー(Cellular, PCS, WLL)、ネットワーク機器ベンダーと端末ベンダー、試験機器メーカーはもちろんのこと、情報通信関連企業、半導体製造・設計企業(IntelやCadence Design Systems等)、ロケーション技術(SignalSoft Corp.等)、ローミング・スマートカード技術(Schlumberger、Gemplus等)と極めて広範囲だ。
 cdma2000の巻き返しは極めて強力といえよう。

(注) 中国におけるCDMA通信企業は(WLLを除く)香港がHutchison Telecom(Motorola製)、中国本土はBeijing Telecommunication Administration (Motorola製)、Guangdong Mobile Communication Co. Ltd.(Lucent製)、Shaanxi Great Wall Mobile Communications (Nortel Networks製)、Shanghai Great Wall Mobile Communication Corporation (Samsung製)である。China Telecomは異なる。


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