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2002.11.29
 
 


ICカード標準化が錯綜する理由(3) …

 標準を考える際は、ハードの規格だけでなく、当該ハードを活用する体制についても分析すべきである。

 ハード上は同じカードでも、利用システムがバラバラなら、利用者側は多大な負担を強いられる。例えば、カード認証システムや情報の扱い方が違えば、同じカードでも互換性を失う。従って、個別システムの独自性をどの程度容認すべきか、という問題は、標準化にとって極めて重要な問題なのである。

 コンピュータの発展史を見ればわかるが、初期はハードのコストが嵩む。しかし、普及すれば、システム構築費用がコストの大半を占める。ICカードは超小型コンピュータでもあるから、同じことがおきる筈だ。
 従って、システム規格の巧拙で、産業の将来が左右される。もちろん、参入企業の収益性も大きく変わる。
 但し、ICカードにおけるソフト産業は、パソコンのようには単純ではない。利用目的によって様々な知的所有権が絡んでくるからだ。すべてを包含する規格作りは難題である。

 といっても、「Mifare」の普及で、産業構造はすでに確立している。

●発行・運用システムは、ジェムプラスやシュランベルジェといったカードシステム会社が管掌している。一見、様々なカードが存在しているように見えるが、基本的な仕組みは統一されている。(http://www.gemplus.com/ http://www.smartcards.net/)
●ローカルなカード製造企業は、カードシステム会社からライセンスを受け、カードシステム会社の規格に合う半導体メーカーからOS搭載済みのICチップを購入し、カード製造を製造し、手順に従って発行・データ処理を行なう。
●システムインテグレーターは、ローカル企業からカードを購入すると共に、カードシステム会社が適合を確認しているターミナルを調達し、コンピュータネットワークを構築する。
 上流から下流まで、機能が分画されているので、それぞれの機能毎に最適化できる。相互がうまくかみ合えば合理的な仕組みといえる。

 理屈では素晴らしい仕組みだが、参画企業すべてが、産業発展のビジョンを共有しているとの前提が成り立つ場合だけである。もしも、どこかの機能を独占的に担当する企業が、革新を阻害したり、収奪型の事業展開に走ると、最悪の仕組みになる。高コストで、進化が止まる。独占の弊害である。

 一方、「FeliCa」は、上流から下流まで、一括してソニーが管轄できる仕組みだ。管理はし易いが、機能毎に挑戦する仕組みではないから、外部の新しい知恵は取り組みにくい。にもかかわらず、分業型に対抗して新規格を確立したのである。

 この状況を見ればわかるように、標準問題の要石は、明らかにカードシステム会社なのである。 

   過去記載の
   → 「ICカード標準化が錯綜する理由(1)」へ (20021127)
   → 「ICカード標準化が錯綜する理由(2)」へ (20021128)


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