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2002.11.30
 
 


ICカード標準化が錯綜する理由(4) …

  物理的に見れば、ICカードの構造はパソコンとほとんど同じだ。従って、パソコン同様、OSの選定問題が発生する。

 非接触カードの3タイプ(ISO14443-A,B,C)のうち、Cタイプ(ソニー)は独自路線だから、独自OSを固執することになろう。しかし、Bタイプは、現在普及しているAタイプを引き継ぎ、次世代の地位を狙っている規格だ。従って、接触型共用で、Aタイプ(「Mifare」)にも対応する仕様を実現する必要がある。ということは、接触カード用と同一OSを選択するしかない。

 接触カードには、すでに標準OSがある。「MULTOS」である。(http://www.multos.com/)

 この規格には、MasterCard/Mondx、AMEX、JCB、Europayが参画した。VISA、DINERSは欠くが、主要クレジットカードメンバーをカバーしており、EMV規格準拠なので、既存金融カード向け標準規格の地位を確立したといえる。[この分野の国際規格はISO7816準拠のEMV(Europay/MasterCard/VISA) 国内はJICSAP(http://www.jicsap.com/)と全銀協仕様]
 日本国内では、コンソーシアムに参加してきた企業(日立、富士通、大日本印刷)を中心として、推進協議会が積極的に動いている。(http://www.multos.gr.jp/)
 このOSの特徴は、複数のアプリケーションを動かせる点にある。従って、公共カードも多用途化できる。現在使用中のカードを代替すれば、他の機能を付加できる。相乗りは、金融カード企業にとっては新たな収益源になるから、導入の大きなインセンティブといえよう。
 2000年9月のバージョン5で非接触の規格が決定した。さらに、携帯電話カード(SIM)や高度な公開鍵(楕円曲線暗号ECC)にも対応した。接触・非接触間のデータ交換、「Mifare」との同居も可能になった。これで次世代カードの要件を備えたことになる。
 欠点は、独自言語と高コストである。
 2002年5月には世界中の発行枚数が600万を越えた、との発表があったが、低価格化が進まなければ市場から見放される可能性もある。

 もう1つが、サンが1996年に提唱した「Java Card」である。[OS上の仮想マシンJava VMにカード用フレームワークを乗せた規格]Javaであるから機種に関係無く情報がスムースに伝達できる。パソコンとの親和性が高いから、インターネットを介した様々な取引が一気に花開く可能性がある。こちらも、魅力的といえよう。ジェムプラスとビザが積極的である。当然ながら、コンピュータベンダーは、インターネット取引普及に寄与するJava規格は大歓迎だ。(http://java.sun.com/products/javacard/)
 日本でも、三井住友カードがシュランベルジェの「Java Card」発行を始めるとの発表があった。(http://www.slb.com/press/newsroom/index.cfm?PRID=13721&ThisSectionID=124)

 以上の2つが、デファクトスタンダードと言えよう。

 ところが、もう1つの規格が動いている。マイクロソフトの「SmartCard for Windows」だ。「MULTOS」と「Java Card」対抗といえよう。安価なOSで標準化を狙っている。ユーザーが要望する価格は極めて低いから訴求力がある。言語もよく知られたVisual Basicが使える。しかも。パソコン側のOSがサポートしているから、カードリーダーさえあればWindowsNTに即時接続可能という利点がある。(http://www.microsoft.com/japan/smartcard/resources/comp-prod.htm)

 この状況からわかるのは、OS標準化問題の背景には、クレジットカード、デビットカード、電子マネー間の競争と、カードブランド間の競争がある。金融カード企業にとって、業容拡張のチャンスだが、同時に脅威でもある。 

   過去記載の
   → 「ICカード標準化が錯綜する理由(1)」へ (20021127)
   → 「ICカード標準化が錯綜する理由(2)」へ (20021128)
   → 「ICカード標準化が錯綜する理由(3)」へ (20021129)


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