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2002.12.01
 
 


ICカード標準化が錯綜する理由(5) …

 ICカード標準化問題が錯綜する背景には、金融カード企業間の競争がある。

 しかも、この競争自体が同質ではないから、問題を一層複雑にしている。というのは、商取引決済の仕組みの将来像が不鮮明だからである。インターネットが普及すれば、遠からずすべてが電子決済になる。その時、現在の金融カード企業が、引き続き決済を取り仕切る必然性はない。例えば、革新技術によって、新興企業がインターネット決済インフラを一手に取り仕切る可能性もある。

 従って、ビジネスシナリオは各社各様だ。カード標準化の個別課題で一致しても、将来ビジョンは違う可能性が高いのである。従って、次世代カード規格は、これからも紆余曲折が予想される。
 この認識の下で、ICカード領域で技術展開を進めることが重要といえよう。

 例えば、カード開発担当者は、構造が類似しているパソコンと同じ技術展開を図る。技術進化を見越して、対応可能範囲拡大や、将来の高機能組み込み要請に応えることを最優先する。しかし、ICカードでは、こうした展開が奏効するとは限らない。
 大量生産すれば廉価になるとはいえ、高度な内容を組み込むのだから、当然、高価な商品になる。
 VISAによれば、多機能ICカードのコストは1998年に8ドルだったが、2002年にはようやく2.6〜4.08ドルにまで下がった。(http://corporate.visa.com/mc/press/press100.html)
 しかし、磁気カード全面代替を狙うなら1ドル以下が必須である。この先、低価格化が進まないなら、標準化しても浸透できまい。

 多機能カードの普及が進まなければ、基本機能を端末機器側が担当する仕組みが立ちあがる。ネットワーク構築企業にとっては、自らの技術で柔軟に対応できるから、こちらの方が飛躍のチャンスが大きい。
 標準化の問題が錯綜する原因はここにもある。
 カード読取機器はカードの仕様に合わせて作られるのは当然だが、決済システムの端末でもある。決済インフラの仕組みによってカードの役割が変わることもありうる。カード浸透の動きが鈍ければ、システム側が機能拡大に動くことになる。

 1996年、EMVカード規格に対応して、ウインドウズ機器側のインターフェース規格統一の動き「PC/SC」が始まった。2大カード企業(ジェムプラス、シュランベルジェ)、CPU/EEPROM特許を持つブル、マイクロソフト、サン、HP/ベリフォーン、IBM、東芝、シーメンスが参加して、インターフェース規格つくりを進めたのである。
 これと並行して、様々なコンピュータ/端末機器に対応できるよう、機器側のアーキテクチャーとインターフェース標準を作成する動き「Open Card Framework」も進んでいる。
(http://www.opencard.org/)
 要するに、これらは商取引のインターネット化推進の動きである。安価な標準読取機を接続するだけで、簡単に商取引可能な仕組みを目指しているといえよう。
 例えば、パソコンに認証サポートソフトをインストールしておけば、ウエブにアクセスするだけで、アプリケーション/認証サーバが対応し、端末でJava appletを立ちあげることができる。
 従って、インターネット取引の基盤つくりを狙う企業は、Java対応ICカード活用に動かざるを得ないのである。

   過去記載の
   → 「ICカード標準化が錯綜する理由(1)」へ (20021127)
   → 「ICカード標準化が錯綜する理由(2)」へ (20021128)
   → 「ICカード標準化が錯綜する理由(3)」へ (20021129)
   → 「ICカード標準化が錯綜する理由(4)」へ (20021130)


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