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2003.10.20
 
 


自動車規格の戦い (1:欧州の挑戦)…

 欧州では毎年130万件の事故が発生しており、死者は4万人、負傷者が170万人に達しており、損害額はGDPの2%と推定されている。
 このため、自動車のインテリジェント化を進めることで、安全性向上を図るべきとの政策指針が、2003年9月に発表された。インテリジェント化は、一千万人の雇用を生み出し、GDPの10%を占めている、欧州自動車産業の強化にも繋がる、との考えが基盤にある。
 [「Information and Communications Technologies for Safe and Intelligent Vehicles」]
 (http://www.europa.eu.int/information_society/programmes/esafety/doc/esafety_communication/esafety_communication_vf_en.pdf)

 欧州は、車産業で優位なポジションをとるべく、エレクトロニクス/ネットワーク技術でリーダーシップを発揮するつもりだ。

 車は、メカニカル技術の集大成だが、今や、電気/エレクトロニクス関連コストが本体の1/3に迫る時代である。
 利用者の価値観も変わりつつある。高額なアクセサリー、カーナビの購入も増加一途である。アクセサリーの価格が、エンジン価格を凌駕しても当然、と見なすようになった。

 従って、エレクトロニクス/ネットワーク技術で分野で競争力を持てるかどうかが、今後の自動車産業でのヘゲモニー争いの焦点といえる。

 ところが、この競争は、今までの自動車産業における競争と全く質が違う。

 メカニカル技術なら、個別要素の徹底した深掘りと、互いの干渉を考慮できる能力を磨けば、高性能/高品質で安価な車を作ることができた。
 しかし、ネットワーク技術ではそうはいかない。
 ソフト開発とハード開発という全く別の2つのスキルを磨く必要があるからだ。しかも、ソフトはハードに依存する。ハードのスキルだけを磨き込んでも、ソフト開発が追いつかなければ、何の成果も得られない。しかも、ソフト開発には多大の工数がかかる。
 個別要素技術の力より、技術マネジメントの巧拙で成果が左右されるのである。

 メカの時代の発想で、低コスト大量生産の実現を目指した技術マネジメントを続けていると、競争力を失いかねない訳だ。
 特に重要なのが、ソフトの使い回しやバージョンアップの仕組みである。1品ものソフトを、常にゼロから作っていたのでは、とても競争に勝てないから、効率的なソフト開発体制構築が不可欠なのだ。

 従って、ソフト開発に当っては、規格を揃えることが前提となる。
 このため、自動車用ネットワークのプロトコル標準化の戦いが熾烈化したきた、と言える。

 欧州は、この分野では早くから優位に立っている。この優位を揺るぎ無いものにして、実質的な競争力強化に結びつけようとの動きが始まったのである。

 その第一歩が、新たなコンソーシアムとして現われた。
 2003年9月、車メーカー(BMW Group, DaimlerChrysler, Volkswagen)とサプライヤー(Bosch, Continental, Siemens VDO)が包括的なオープンスタンダード作りのコンソーシアム、AUTOSAR(Automotive Open System Architecture)を立ち上げたのである。
 (http://www.autosar.org/find02.php)


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