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2003.10.24
 
 


自動車規格の戦い (5:欧v.s.米)…

 自動車LANは階層構造化が進んでおり、そのうちの最大容量の通信になるのが、メディア&エンタテインメントの領域であり、ここでは「MOST」と「IDB-1394」が標準争いをしている、と述べた。
   → 4:階層構造

 どのような状況か、ざっと見てみよう。

 「MOST」はMOST Cooperationが普及母体になっており、車メーカー18社とプレミア・サプライヤーが50社が参加している。すでに、欧州では光ケーブル「MOST」は標準と考えてよいだろう。
 (Audi, BMW, DaimlerChrysler, Fiat, Ford, Jaguar, Porsche, PSA Peugeot Citroen, Saab, Volvo, Volkswagen)
 (www.mostcooperation.com)

 一方、「IDB-1394(ITS Data Bus)」の普及を推進しているのが、Joint Automotive Working Group[IDB Forum + 1394 Trade Association]だ。この組織は、仕様そのものの確定作業というより、情報家電や車外インフラとのインターフェースの標準化をSAE(Society of Automotive Engineers)や業界団体AMI-C(Automotive Multimedia Interface Collaboration)に呼びかける活動主体と考えたらよい。

 「IDB-1394」とは「IEEE-1394/Firewire」の自動車版にすぎない。これを世界標準にしたいということは、米国のIT産業の動きに合わせようとの方針といえる。
 「IEEE-1394/Firewire」は家電、コンピュータ、周辺機器で広く使われているから、コンポーネンツも安価に入手できる。データ伝送速度も速く、信頼性が高く、仕様もオープンだ。世界中に対応能力を持つエンジニアがいる点もあり、メリットも多い。

 しかし、欧州はあくまでも「MOST」である。
 欧米の角逐が始まっている訳だ。

 もちろん、表面的には、Joint Automotive Working Groupが規格統合を呼びかけたりするが、欧州勢の組織、ERTICO(European Road Transport TelematicsImplementationCoordinationOrganization)が「MOST」のポジションを危うくするような動きに乗れる筈がない。

 対立が深刻化すると、やっかいな問題である。

 こうなると、結局のところ、AMI-Cでどのように解決するか話し合うしかない。
 AMI-Cは1998年に設立された。メンバーは、車メーカー8社(Fiat Auto SpA, Ford Motor Co., General Motors Corp., Nissan Motor Co. Ltd., PSA Peugeot Citroen, Renault SA, Toyota Motor Corp.)とサプライヤー(Delphi Corp., Visteon Corp., Denso Corp., Yazaki Corp., Alpine Electronics, XM Satellite Radio等)である。
 (http://www.ami-c.org/)

 しかし、AMI-Cは組織の性格上、カルテルのような形で規格を決めることはできない。(強制力皆無)
 参加者も多いから、議論のスピードも遅い。しかも、ITSキラーアプリケーションが不在なため、議論自体も複雑化するし、意見は錯綜しがちである。
 現実的にも、ITS利用提案は極めて多岐に渡る。当然、小さな市場の寄せ集めから出発せざるを得ない。これを、すべて同じ仕組みで一律的にカバーする規格を考えようとするのだから、並大抵のことでは解決できまい。
 ITSの規格で重要と思われるセキュリティの話しに進むどころではないのが実情といえよう。

 その上、自動車のハード開発スピードは、情報家電製品やパソコン/インターネット業界の新製品/サービス導入スピードとは大きく違う。技術そのものは似ていても、開発スピードでIT業界と同期がとれないのだ。

 自動車におけるメディア&エンタテインメント分野の標準化は難しい問題を孕んでいるのだ。

 こうした状況を勘案すれば、長続きするインターフェース規格を決め、他の部分は短期更新が可能な仕組みにするしかあるまい。

 そのような発想で、ようやく新しい組織が欧州で立ちあがった。CARTEC(Connected Automotive Research and Technology Evaluation Collaboration)である。車メーカー、無線ネットワーク企業、ソフトウエア開発企業、ハードウエア・メーカー、アプリケーション開発企業が同じ土俵の上で検討しようという試みである。


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