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2003.10.27
 
 


自動車規格の戦い (8:X-by-Wire戦争)…

 いよいよ、パワー制御と操縦分野が「by-Wire」する。
  →  7:すべてがby-Wire化

 といっても、家庭やオフィスのLAN構築のようには簡単にいかない。
 要求水準が極めて高いからである。

 プロトコルのパフォーマンスの良さは絶対条件だが、前提条件も厳しいものがある。
 第1に、ハード上で、リアルタイムの制御ができなければならない。
 第2に、高い信頼性が必要である。
  特に、フォールト・トレランスの点での信用性は不可欠といえよう。
 第3に、 安心できるパワーマネージメントを用意しなければならない。

 その上で、プロトコルをサポートするハードとソフトの規格が世界標準として揃わなければ、意味がないのだ。
 従って、簡単に開発できるようなものではない。

 少なくとも、500kb/sの「CAN ClassB」ではとても対応できない。そのため、すでに使い慣れているプロトコルの延長規格とも言える「TTCAN(Time-Triggered)」が登場した。

 しかし、どう見ても、この規格では力不足である。
 そうなると、実質的に対応できる規格は2つしかない。「TTP(Time-Triggered Protocol)/Class-C」と「FlexRay」だ。このクラスになれば、5Mb/sレベルの容量を実現できるから、余裕ある制御ができる。
 このため、2つの規格が標準化争いを繰り広げることになる。
 「X-by-Wire戦争」とでも呼べそうである。

 「TTP/Class-C」はウィーン工科大から始まりEUプロジェクトが支え、TTTechが主体となって開発したプロトコルだ。TTA(Time-Triggered Architecture) Groupが普及を進めている。すでに、パワステやアンチ・ロック・ブレーキで使用されているから、日本でも比較的馴染みがあるプロトコルである。
 メンバーには、部品メーカー/システム開発企業のDelphi Automotive SystemsとHoneywell、AIRBUS、自動車メーカーはAudi、PSA Peugeot-Citroen、Renaultが参加している。
 日本企業としては、NECがアソシエートメンバーになっている。
 (http://www.ttagroup.org/)

 一方、「FlexRay」は、Philipsがリーダーシップを発揮し、FlexRay Consortiumが普及を進めている。半導体/通信のPhilips SemiconductorsとMotorola、部品のBosch Automotive Group、自動車メーカーのBMW、DaimlerChrysler、General Motorsがコアパートナーとして参加している。さらに、プレミアム・アソシエート・メンバーとして、電子部品メーカーのDensoとTyco Electronics Corporation、自動車メーカーとしては、Fiat、Ford Motor Company、Mazdaがあがっている。
 日本企業としは、Fujitsu、Mitsubishi Electric、NEC、Yazakiの名前がある。
 (http://www.flexray-group.com)

 2002年11月に、FlexRay Consortiumは、De Facto Standard化実現と宣言したが、欧米の状況を見ればその通りといえる。・・・2003年8月には、ついにVolkswagenまでがFlexRay Consortiumに参加したのである。「TTP/Class-C」グループと考えられていた企業だが、結局、多数派に加入した。
 (http://www.flexray-group.com/news/VW_pressrelease.pdf)
 「X-by-Wire戦争」勝負ありだ。

 妥当な価格で、タイムリーに、組み込み半導体が作れなければ、車メーカーは競争力を失いかねないから、FlexRay Consortium側はこの点を確約して、多数派形成を図ったと思われる。
 半導体開発ソフトや、生産体制まで、幅広く揃えている方に業界がなびくのは当然のことだ。


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