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2003.10.28
 
 


自動車規格の戦い (9:走るコンピュータ)…

 細かな個別制御から、高度なリアルタイム制御まで、自動車LANの状況を説明してきた。
  → 1:欧州の挑戦
  → 2:LINの制覇
  → 3:CANの意義
  → 4:階層構造
  → 5:欧v.s.米
  → 6:eSafety
  → 7:すべてがby-Wire化
  → 8:X-by-Wire戦争

 個別のメカニカル・システムが、次々と電子システムに移行することがわかる。そして、すべての、電子システムは、全体システムの下に繋がるサブ・システムになる。これが、自動車LANの将来像といえそうだ。

 この変化のタイミングははっきりしないが、思ったよりスピードは速そうだ。
 「by-wire」技術は着々と進展しているから、数年後には、一挙に自動車のインテリジェント化が進む可能性が高い。見かけは同じでも、現在とは全く異なる技術体系の自動車が登場し始める。

 それが、燃料電池車への序幕となろう。
 新しい業界構造に転換するためのインフラが完成するからだ。

 新しい業界構造という視点から、この流れを再度捉え返してみると、その衝撃が理解できると思う。
 よく考えれば、この姿は自動車内LANを越える。自動車はネットワークの一部にすぎないのである。

 大きく見れば、バックボーンのネットワークが存在する。物理的には、自動車の外部だ。
 このネットワークに、車の主幹ネットワークが繋がる。いわば、車全体の機能を制御するプロセス処理用ネットワークだ。
 この下に、サブシステムのネットワークが構築される。
 このネットワークには、必要に応じてパソコン、制御機器、ゲートウエー等が繋がる。ここに、車内のセンサ/アクチュエータレベルでの個別ネットワークが接続する。モバイル機器やメモリーカードとの入出力接点ができることになる。

 このようにして全体像を見れば、コンピュータ・ネットワークそのものであることがわかる。
 要するに、車がコンピュータ化するのだ。
 こうなれば、車の価値はコンピュータに搭載されるソフトと、外観(デザイン)で決まる。技術での差別化の焦点はソフトになる。ネットワークのどのレベルで、どのようなソフトで戦うかが、戦略的に重要になってくる。

 この競争は今までの個別要素技術の戦いとは大きく違う。又、作り込みや現場感覚でいかに優れていても優位に立てる保証などない。ソフトの構想力と、ソフト作成プロセスの優劣が競争力に響いてくる。今までとは質が違うのだ。

 特に重要なのが、標準側について有利なポジションを獲得することだ。
 生み出した知的資産を、競合に提供したり、部分的に非公開にするなど、様々な手段を巧みにとりまぜ、勝ち組に残る方策を考案することが勝利に繋がる。自社技術体系の組み立て方と、その活用方策が武器になる訳だ。

 これからは、技術マネジメント力と知恵で勝負が決まる、と言えそうだ。


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