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2003.11.7
 
 


電子書籍規格の戦い (3:XMDFの踏ん張り)…

 非Adobe規格の動きが強まっている。
  → 1:期待感の高まり
  → 2:汎アドビと反アドビ

 AdobeがPDA対応に遅れたから、古くからPDAで使われてきたシャープの「XMDF(Mobile Document Format)」は有力な地位を維持し続けている。
 (http://www.spacetown.ne.jp/menu21/books/what/xmdf.html)
 シャープが開発した規格だが、シャープ製品だけでなく、他のPDAやパソコンでも使える体制を敷いている。
 「SHARP ブンコビューワー」というソフトをインストールすれば読めるのだ。
 (画面サイズや指定した文字の大きさに応じたレイアウトで表示になる点が特徴。縦書き/横書き表示可能で、妥当な写真配置ができるから、必要そうな機能はすべて揃っている。)

 といっても、基本は、低処理能力のデバイス向けの規格である。これからの世界標準「XML」の簡易版といえよう。
 つまり、コンテンツを最初にHTML型で記述し、次ぎにこれを書誌型であるXMLに転換する。そして、簡略化して配信できる形態のXMDFに直し検証することになる。
 一見簡単だが、検証して問題が発生すれば、このサイクルを繰り返すことになる。面倒だが、ソフト製作としては極く普通の作業である。外注化もできるから、配信コンテンツ作成に特段のボトルネックは無い。
 但し、この変換作業過程でライセンス料が発生する。すべてのPDAに対応はするが、純粋なオープンではないのだ。

 このことは、XMDF規格は、既存出版業向けのPDA用出版の標準を狙っていることになる。ライセンス料負担に耐えられない弱体出版社やアマチュア勢力が登場することはないと思われる。
 そうなると、どうしても新規性は乏しい。人々を呼び込む力は弱い。
 逆に、「T-Time ビュワー」のような、安価な変換ソフトが存在すると、こうした規格が、セミプロやアマチュアの自費出版という形で入ってくるかもしれないのである。
 (http://www.voyager.co.jp/T-Time/)

 もっとも、一番の問題は、出版プロフェッショナルの態度だろう。画面サイズで見え方が変わる仕組みには、プロは違和感を感じるかもしれない。おそらく、「低処理能力の安物用」でなく、妥当な処理能力を有するデバイスを欲しがるに違いない。今のPDAは電子書籍閲覧には向かないと見なしている可能性は高い。

 例えば、写真集の電子出版では、「蔵衛門」という規格がとび抜けている。美観を重視するからだ。
 紙の印刷とは違い、電子媒体では、美しさを発揮する規格と簡素な規格との間の製作コストに、それほどの差がでない。デバイス能力が向上しさえすれば、美しさを実現できる規格が優位になるのは間違いあるまい。
 XMDFは、軽くて速い表示がウリだが、書籍は動画とは違う。見た目の美しさを重視するプロフェッショナルに浸透する上で、大きなハンディキャップがあるのだ。

 とは言うものの、シャープが運営するサイト「電子文庫」は好調だ。ダウンロード数が一貫して増え続けているようだ。
 (http://www.spacetown.ne.jp/dynamic/app/F101/book/index.jsp)

 問題は、この先、低能力デバイスに、どこまで出版コミュニティが肩入れするかだ。


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