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2003.11.29
 
 


動画規格の戦い (2:ケータイ分野の競争)…

 「MPEG-4」が次世代のエンコード/デコードの標準になる上で、最初の関門はケータイだろう。

 いよいよ第3世代になり、通信容量が大きくなったから動画が使えるようになった。どのような利用が広がるかわからないとはいえ、全く新しいことが可能であるから、この分野での規格標準の地位を確保するのは極めて重要といえる。
 しかも、ケータイの場合、ソフトはチップに組み込む。一度搭載されれば、変更できないから、規格は固定化しやすい。立ちあがり時期に、完全制覇を狙う必要がある。これを逃すと、チャンスは2度と巡ってこない可能性が高い。

 といっても、ケータイ関係企業の多くは「MPEG-4」を使用する、との発言が多かったから、当然のながれと見ている人も多い。
 ところが、現実には、規格の標準化が進んでいるとは言い難い。世界標準を打ちたてようという建前の発言通りに、ビジネスを進める訳にはいかないのである。

 動画配信が一番早く立ちあがっている日本で見てみよう。
  [撮影ビデオ交信/アニメ作品受信が始まっているが、デジタルテレビ受信がキーアプリケーションになる可能性も高い。]

 DoCoMo/FOMAの「iモーション」は.asfファイル削減/拡張版(MP4ファイル版へと移行中)を使っている。映像は「MPEG-4」でサウンドは「AMR」だ。
 この場合、独自のコーデイングを組み込んだソフトを使い、AVIファイルをエンコーダで.asfファイルに直してサーバに載せれば、ケータイ端末のブラウザからは「http://」というお馴染みの呼び込みを行うだけで見れることになる。
  (http://www.nttdocomo.co.jp/mc-user/i/imotion/imotion.html)

 一方、au/CDMAは「ezmovie」と称される仕組みだ。「MPEG-4」だが、ハイパーリンクテロップ機能等を追加したため独特の.amcファイルになっている。ウエブはXHTML言語を使うことになる。新しいダウンロード方法なので、配信サーバ側で.amc対応設定を行う必要がある。
 .amcファイル化自体は簡単で、プラグイン型の「ezmovie」ソフトで作れる。
  (http://www.au.kddi.com/ezfactory/index.html)

 Vodafone(旧J-phone)は「ムービー写メール」で第2世代から動画対応を実現している。.noaファイルという「Nancy」規格である。リアルタイムで処理でき、極めて軽くて、エラー耐性が高い、エンコーダー/デコーダーを端末に搭載しているのだ。(第3世代では「MPEG4」が投入される。)
  (http://www.nancy.co.jp/Japanese/NancyME_jp.pdf)

 これだけ見ても、一目瞭然だが、「MPEG-4」標準化を活かそうという流れとは言い難い。どのファイルでも、現在のパソコン搭載のプレーヤでは読めない。読めないコンテンツを、ケータイ向きにわざわざ作ることが流行するとは考えにくい。そもそも専用プレーヤーを必要とするファイルを登場させるのでは、標準化逆行に近い。

 一方、ブロードバンドで使われている規格が、この分野に入ってくる可能性は高い。この流れの方が余程標準化に近い。しかも、パソコン分野で人気のコンテンツをケータイ用に転用する流れを作り易い。
 実際、RealNetworksはSymbian OS等でRealOne Mobile Playerを投入済みだ。NokiaやPalmとの連携も進んでおり、ケータイ搭載が進む可能性は高い。
  (http://www.realnetworks.com/mobile/solutions/partners.html)

 もちろん、Microsoftも同様にモバイル分野で活発に動いている。2003年9月にはWindows Mobile搭載のGSM Smartphoneを発表したが、当然ながらプレーヤーはWindows Mediaだ。
  (http://www.microsoft.com/presspass/press/2003/sep03/09-15ATTMPX200PR.asp)

 このままでは、下手をすると、「MPEG-4」はケータイでたいした役割を果たせないで終わるかもしれない。

 ・・・「MPEG4」にとって、ケータイ応用は正念場といえよう。


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