↑ トップ頁へ

2004.3.31
 
 


4/3は浸透するか?…

 デジタル1眼レフカメラのレンズマウント標準規格「Four Thirds System」が登場したのは、2002年9月のことである。(1)

 4/3サイズ(18x13.5mm)のイメージセンサーを使い、高品質画像を実現できる新マウント、とのふれこみの規格である。
 イメージセンサーは、間違いなく、2/3や1/1.8サイズから、4/3サイズに移行していくから、このセンサー向けマウントを設定するという考え方は正論である。
 さらに、レンズマウントをオープン規格化し、イメージサークル(結像エリアの直径)とバックフォーカス長(マウントからイメージセンサーまでの距離)も規定した。
 これにより、他社レンズが使えるようになる。
 カメラを使う側にとっては、あり難い動きだ。

 これを企画したのは、オリンパスとイーストマンコダックであり、富士写真フイルムも参加した。写真フィルム業界の両巨頭が参加して、高品質デジタル画像実現に動いた形になる。
 高画質化の波が進めば、美しい焼き付け写真市場も拡大する可能性があるから、写真フィルム業界としては、後押ししたい規格といえよう。

 しかし、良く知られているように、1眼レフカメラ事業の収益は、豊富なアクセサリー群に依存している。カメラ本体を購入した人は、必ず、その専用マウントに合うような交換レンズ群を買い揃える。本体での競争は厳しいから、収益性は低いどころか、赤字のこともあるが、交換レンズ群は競争が無いから高収益が約束される。
 「Four Thirds System」は、オープン規格だから、こうした仕組みを一気に崩すことになる。
 1眼レフカメラメーカーにとっては、乗れない規格である。

 従って、自社専用マウントメーカーとオープンマウントメーカー間の、高品質画像競争が始まることになる。
 前者は、35mmフィルム用高品質交換レンズ群とブランドを活かし、オープン規格を潰すしかない。失敗すれば、地位を失うことになるから、必死の戦いになる。
 これが、デジタル1眼レフ市場が急速に活性化し始めた遠因である。
 (他のカメラメーカーと違い、オリンパスは、フィルム一眼レフカメラ「OMシリーズ」の生産を終了しており、新マウント移行の障害が無い。・・・と言うのは表向きで、実は「OMシリーズ」のレンズもアダプターを付けることで、「Four Thirds System」の機種「E-1」でも使えるようにしている。)

 主要1眼レフカメラメーカーにとっては、オープン規格と戦うためには、現行の35mmフィルム用交換レンズをそのまま使えるメリットを打ち出すしかない。先ずは、すでにレンズに投資している顧客を防衛せざるを得ないのだ。
 デジタル向けのマウント変更は、一気に牙城を崩されかねないから、避けることになる。

 どちらが有利とも言えないが、光学性能上は、「Four Thirds System」が優位と言えそうだ。
 (アナログセンサーである写真フィルム(35mm)と、デジタルのイメージセンサーでは、受光特性が違う。従って、イメージセンサーに合った光学設計を行えば、より高品質な画像を得ることができる。安定した光学仕様が実現できれば、センサーとレンズに対応したソフトウエアのバージョンアップも簡単になる。)
 実際、同じレンズ口径ならより明るくなるし、全長を短くすることもできる。これだけでも、メリットは大きい。
 但し、このメリットを事業の成功に繋げるためには、豊富な交換レンズ群が並ぶ、という前提ありきだ。現時点では、オリンパス1社の限定的な品揃えであり、既存レンズ群とは勝負にならない。

 とはいえ、2004年2月になって、三洋電機、松下電器産業、シグマが「Four Thirds System」に参加してきた。(2)
 シグマは、もともと互換レンズメーカーだから、予想された参加だが、センサー技術を持つエレクトロニクスメーカーの参加は市場にインパクトを与えるかも知れない。こうしたメーカーが本腰を入れれば、オープン化の流れが加速する可能性があるからだ。

 と言うのは、「Four Thirds System」はセンサー技術進展に対応し易い規格だからだ。
 一見、単純なマウントを揃えただけの規格に見えるが、センサー機能重視の思想が貫かれている点が特徴である。
 (「E-1」の防塵技術も、センサー重視の思想と言えよう。(3))
 例えば、「E-1」は、コダック製の特殊仕様CCD (フルフレーム・タイプ)の機能を十二分に発揮できるカメラ、とも言える。

 といっても、すべてのセンサーメーカーが「Four Thirds System」に本腰を入れるとは限らない。
 富士写真フィルムにしても、高度なイメージセンサー開発に注力しているが、カメラ事業の観点からいえば、「Four Thirds System」に傾注する必然性があるとも言い難い。これは、三洋電機にも当てはまる。

 マウント標準化の戦いが本格化するかどうかは、オリンパス以外から、新型センサーの機能を活かした1眼レフカメラが登場するかにかかっていると言えそうだ。

 --- 参照 ---
(1) http://www.four-thirds.org/jp/index_01.htm
(2) http://www.olympus.co.jp/jp/news/2004a/nr040213ftsysj.cfm
(3) http://www.olympus-esystem.jp/technology/index.html


 デファクトスタンダードの目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com