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2004.10.4
 
 


PDF/X1-a の浸透…

 Adobe Acrobat 6.0 が投入されたのは、2003年5月のことである。

 一般人には、アクロバット・リーダーのバージョンアップという印象しかないが、これはPDF/X1-a規格(ISO 15930)(1)のもとに作られており、様々な印刷物を包含できるようになっている。

 このことは、原稿制作、送稿まですべてがデジタルで簡単に行えることを意味する。これで、デジタル化が遅れていた、出版・印刷分野が、様変わりすると思われる。

 例えば、新聞のような大型の印刷物でも楽に対応できる。新聞印刷データはRIP(ラスターイメージ)ソフトで作られるが、このデータをそのまま圧縮して送ることができる。

 ここまで技術が進展すれば、日本は、欧米に比べると遅れてはいるが、PDF/X1-a規格は確実に浸透すると思われる。

 実際、旅行エージェント大手のJTBは、旅行パンフレットの電子倉庫化とオンデマンド印刷を進める決断を下した。1000台のプリンターが導入されるという。(2)

 PDF/X1-a規格が広まれば、本格的な新聞配信も当たり前になるだろう。
 今までの電子新聞とは、特殊なものでしかなく、およそ新聞紙のイメージとはかけ離れたものだったが、印刷物と全く同じイメージのものが、パソコンで当たり前に読めるのである。

 例えば、米軍の「Stars and Stripes」紙は、インターネット接続環境さえあれば、Acrobat reader で、新聞紙面そのままの形でどこででも読める。(3)

 日本ではほとんど見かけないが、「日本証券新聞・電子エディション」は同じようなもののようである。(4)

 もっとも、こうした企業は例外で、新聞雑誌業界全体からいえば、デジタル化は余り熱心とはいえなかった。
 ところが、2003年7月、読売新聞社が広告原稿の全面デジタル化に踏み切った。(5)

 これで、全国紙の全面的にデジタル化は一気に既定路線化した。当然ながら、地方紙もこれに追随する。

 この流れは、印刷という面での話しだが、Adobe の規格が標準になるということは、デジタル画像編集ソフト「Photoshop」 の地位が確定することでもある。
 新聞業界の文書定義規格「NewsML」が、Photoshop の情報フォーマットに取り込まれることになるのは間違いないだろう。コンテンツ記述言語臭が強かった「NewsML」が、写真を含めた、本来の情報素材全般の管理手法になる訳だ。

 おそらく、こうした動きは、新聞業界だけの話ではおさまらないだろう。
 印刷物全般に当てはまる流れと考えるのが自然である。

 ということは、デジタル化印刷物の規格の元締めはAdobe 以外にありえないとも言える。

 しかし、アクロバット・リーダーのように、インストール数が多いから、その規格が主流になるという常識に対する挑戦者もいる。

 しかも実稼動中である。産経新聞の朝夕刊・全地方版を電子配信する「NEWSVUEシステム」(6)がアクロバット・リーダー以外のビューアを使っているのだ。毎日、この新聞を見ているが、極めて美しく仕上がっており、使い勝手もよい。普通に新聞を眺めている感じで読める。
 ビューワーをインストールする必要が無い技術だそうだ。(7)

 面白い技術だが、「NewsML」のような規格とつながるようなものではないから、主流化は難しい気がする。

 --- 参照 ---
(1) 「Graphic technology - Prepress digital data exchange using PDF」
   http://www.jsa.or.jp/domestic/instac/committe/H15report/report-contents/01_01.pdf がわかりやすい。
(2) 2004年6月2日 印刷新報 キャノン開発の高圧縮PDFを使用
(3) http://estripes.osd.mil/
(4) http://jsj.kabutocho.co.jp/sample/
(5) 2004年7月10日 印刷新報
(6) http://shop.newsvue.net/bbj/index.html
(7) http://www.pluginfree.com/pluginfree.html


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