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2005.1.27
 
 

次世代CD規格競争は煽るべし…

 CDより高音質を実現する新ディスク規格がさっぱり浸透しない。

 SACD(1)は結構大型店で見かけるようになったが、売れているという状況には程遠い。米国でもCD販売量の1%にも満たない。(2)

 SPレコード→LPレコード→CD→SACDと代替が進むとの目論みは外れたままだ。
 CD代替どころか、CDプレーヤで聴けないためニッチ品に落ち込みそうである。
 店頭はCDソフトばかりで、SACDソフトは極く一部なのだから、当然だろう。お蔭で、SACD対応プレーヤーもなかなか増えない。機器メーカーも販促に力が入っているようには見えない。
 SACDはパソコンでは読めないから、コピーの心配がなく、コンテンツソフト提供企業も熱心になってもよさそうなものだが、現実にはお付き合い程度といった印象である。

 このため、ついにCD層も設けたハイブリッドSACDが始まった。これなら、CDプレーヤーにも対応できるから、CDソフトとSACDソフトの併売の必要がなくなる。
 しかし、今のところ、市場が変化し始めた兆候は聞こえてこない。

 代替がさっぱり進まないのは、安価なプレーヤーが無いというより、CDのようにコピーできない点と、規格がどうなるかという不安感の影響が大きいと思われる。

 コピーできないメディアでは、保有している携帯機器で聴くことができないから、購入に動くことはあり得まい。結局は消費者の力に負け、コピーできるようにせざるを得なくなったと言えよう。

 一方、規格統一は未解決のままだ。対抗規格のDVD-Audioは、誰でもが持つDVD-Videoの展開版だから、そう簡単になくなることはない。 (3)

 しかも、DVD-Audioは、SACDとは違い、基本骨格がDVDだからDVD-Videoと一部互換性を持つ。従って、DVD視聴ソフトが対応していればパソコンで聴くことも可能になる。とはいえ、そのメリットを享受しているという話はほとんど聞かないが。
 SACDがCDとハイブリッド化を図ったように、こちらも張り合わせ盤Dual Discを登場させている。(4)

 もともと、DVD VideoとDVD Audioの2層型ハイブリッドもあったのだから、早くから展開してもよさそうなものだが、CDのライセンサーがSACDの元締めだから、ハイブリッドに対しては消極的だったのかもしれない。

 規格はこれだけではない。DVDミュージックもある。こちらは、音質は落ちるが、広く普及しているDVDプレーヤーでそのまま聴けるのがウリである。要するに、DVD Videoに音楽を記録した規格である。(5)

 単純に見れば、録音済メディアは、CD、SACD、DVD-Audio、DVDミュージックが競争しているように見える。
 しかし、DVD-Audio規格を見てわかるように、複数の再生チャンネル数が用意されており、細かく見ると、さらに様々なタイプが並存しているのが実情だ。

 要するに、オーディオメディアの規格は体系だっていないのである。

 コーディングにしても、DVD Audioの基本はPCM(Pulse Code Modulation)だが、Dolby Digital(AC-3)、MPEG-1/MPEG-2、DTS、SDDSもありえる。まさに乱立である。すべてに対応するユニバーサル機器などあり得ないから、一般消費者にとってはたまったものではない。

 しかし、これはデジタルの宿命とも言える。技術進歩がある限り、新規格登場は避けて通れない。
 類似規格の乱立は唾棄すべきものだが、異なる思想なら、正面から意義を語り、競争することも必要ではないかと思う。コストはかかるが、それだけの意義がある。
 オーディオメディアの規格はそうした類のものではないだろうか。

 例えば、DVD AudioはPCMだから、音の編集は容易だが、SACDのDSD(Direct Stream Digital(6))方式はそうはいくまい。編集するには、一度、PCM化せざるを得まい。アナログを直接デジタル化した規格とも言える。
 こんな仕組みを重視するのは、オーディオ重視発想としか思えない。
 デジタル世界の発想なら、映像等の他のデジタルデータとの同居を当然視し、データ変換のし易さも重視する筈だ。

 オーディオ用光ディスクの規格設定には膨大なマンパワーが費やされたが(6)、底流の思想が違うのであるから、一本化できないのは当然なのである。

 つまり、両者の機能を比べて決着する性質の問題ではないのだ。ビデオテープの規格競争とは違い、両規格の思想が違うのである。

 磁気ディスクの大容量化・安価化が進んでおり、光ディスク依存そのものを否定する思想もでてきておかしくない状況にあり、メディアの役割そのものが問われている。
 しかも、大容量ディスクの商用化が目前に迫っている。容量に合う様なオーディオデータの圧縮を工夫する必要はなくなってくるし、オーディオと他のデータのプログラム的な結合も可能になる。オーディオの楽しみ方が変わる可能性もでてきたといえる。

 このような状態で、規格集約の追求など意味は薄い。
 一番重要なのは、オーディオの楽しみ方の将来像を示すことだ。その観点で見て、始めて各規格の意味がわかってくる。その上で、それぞれの消費者が最善と思う規格を選定すればよいのである。
 長い目で見れば、こうした点で規格間の競争が激しくなればなるほど、消費者の利益に繋がるのではなかろうか。

 --- 参照 ---
(1) http://www.super-audiocd.com/
(2) http://www.highfidelityreviews.org/news/news.asp?newsnumber=11109165
(3) http://www.dvdaudio-net.com/about/index.html
(4) http://www.dualdisc.com/press.html
(5) http://www.riaj.or.jp/release/2003/pr030227.html
(6) PWM(Pulse Width Modulation)
(7) http://www.surroundmusic.net/articles/highres.html


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