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2004.9.22 |
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小型原子炉競争…Lawrence Livermore National Laboratory のScience and Technology Review誌2004年7/8号に「Nuclear Energy to Go: A Self-Contained, Portable Reactor」が掲載された。(1)ブッシュ政権になってから、エネルギー省は、予算規模は小さいが原子力発電の研究を支援しているようで、原子力産業復興を目論んでいることは間違いない。 その流れが、いよいよ結実してきたようだ。 出力10〜100MWの鉛冷却「SSTAR(small, sealed, transportable, autonomous reactor)」原子炉の開発を進めるつもりのようだ。 高経済性、高安全性を実現するコンセプトだが、もちろん国内用ではない。放射性廃棄物問題の発生を避けながら、核不拡散を維持するために、開発途上国が利用しやすい発電所を開発しているのである。 しかしながら、小型炉開発では、米国は大きく出遅れているといってよいだろう。 例えば、東芝のナトリウム冷却「4S(super safe, small& simple)」炉のアラスカ奥地での利用がすでに提起されている。(2) 2001年7月には、完全自動運転が可能な超安全・超小型リチウム冷却高速炉ができる見通しを得た、との発表もある。(3) 日本が進めている原子炉開発が小型中心であるという訳ではなさそうだが、大型炉市場の見通しがつきにくい状況では、市場がありそうな小型に力が入るのは極く自然な流れである。(4) しかし、市場が開け始めれば、米国やフランスは政治力を駆使して、この市場を握ろうと動くだろう。 そうなると、小型炉を日本国内に広げようとの動きがでてくるかもしれない。だが、この考えには余りに無理がある。人口稠密地帯が偏在している国で、小型原子炉を多数設置するのは無謀すぎる。大規模発電と長距離送電の組み合わせより、分散型の現地発電の方がメリットが大きいというのは、原理的に危険性が薄い仕組みでの話である。 安全と言っても、原子炉は本質的に危険なものである。狭い地域に数多くの原子炉を設置するような考え方は間違っていると思う。(5) 小型原子炉に向く所とは、米国のように都市が分散している国や、電力需要は小さいがエネルギー源を欠く発展途上国、エネルギー輸送が難しい地域、といったところだ。 日本には、この観点では、適する地域はほとんどない。 従って、日本での原子力発電では、小型原子炉設置を検討する必要などない。 日本にとって重要なのは、既存原子炉の徹底的延命策と、それに引く続く建て替え計画の検討だろう。 --- 参照 --- (1) http://www.llnl.gov/str/JulAug04/Smith.html (2) http://wwwsoc.nii.ac.jp/aesj/division/sed/pbnc2004/pbnc2004.1-1.pdf (3) http://www.jaeri.go.jp/jpn/open/press/2001/010704/ (4) http://aec.jst.go.jp/jicst/NC/senmon/kakusinro/bosyu/020910/furoku-2.pdf (5) 例えば、1999年に出版された、鳥井弘之著「原子力の未来―持続可能な発展への構想」日本経済新聞社は、小型原子炉設置を勧めている。 エネルギーの将来の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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