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2004.10.22
 
 


マイクロ水力発電が広がる…

 「マイクロ水力発電システム」が現実のものになりつつある。水流のエネルギーをできる限り使い、RPS 制度(1)を活用しようというものである。

 グリーン電力は、官民一体になった市場作りが進んでいるようだから、この市場も立ち上がることになりそうだ。(2)

 発電システムについては、もともと高度な技術を持つ企業が多いから、実現は難しいものではない。メインテナンスが低コストですむシステムなら、消費地直結の発電ができるなら、メリットは大きいかもしれない。

 とはいえ、現実にどの程度のメリットになるのかは、市場が開かないとよくわからない。しかし、数は少ないものの、稼動が始まったから、データが公開されれば、早晩、評価がはっきり出る筈だ。

 期待したいのは、都会での利用である。

 一つは、数mの落差の水の流れを利用して、数kWの発電を行う装置が開発されている。ビル内の空調用水でも、使える。(3)

 もっとも、余りに小さい電力量だから、上手く当てはまるユーザーがいるのか疑問が湧く。但し、同じタイプの小さな発電が沢山存在するようなユーザーが存在すれば、ある程度の経済性は実現できるのかもしれない。

 もう少し大型になると、経済効果ははっきりでてくる。
 典型例は、水道の流れからエネルギーをとる方策だ。投資は嵩むが、水量が大きいから定常的に100kWレベルの発電が期待できる。
 例えば、川崎市水道局潮見台浄水場と末吉配水池を結ぶ落差37.9mの上水送水管に170kWの発電所を設置している。この発電量なら、十分意味があろう。(4)

 一方、地方で進められる「マイクロ水力発電システム」は、緊急時の電力確保以上の意味は薄いのではないだろうか。
 消費量が小さい地帯で発電を促進してもたいした意味があるとは思えないのだが。
 山小屋のような、僻地用に考えるべきではないだろうか。

 しかし、現実には、この仕組みが流行る可能性が高い。地方での公共工事を伴うからである。

 一つの流れは、ダム不要の、小落差の水流での発電だ。(5)

 もう一つは、既存ダムを使った発電である。
 こちらは、すでに、大きく動き初めている。2004年4月、大分県中津江村で、農林水産省「山村地域環境保全機能向上実験モデル事業」として、総事業費1億7,000万円をかけたマイクロ水力発電が始まった。筑後川水系鯛生川の既設防砂ダムから取水し、道水路を施設し、有効落差18mの流れ込み式発電を実現した。最大出力は66kWだ。(6)
 kW 当たり15円で考えても、これは大変な事業である。トータルで本当にグリーン効果があるのかも疑問が湧く。
 しかし、そのようなことは、始める前からわかっていることだから、このパターンでの山村事業は続くのだろう。

 --- 参照 ---
(1) 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」に基づくRenewables Portfolio Standard 制度
(2) 2004年に以下2つの報告書が完成した。
 ・「国内外のグリーン電力制度(プログラム)に関する調査」
   http://www.enecho.meti.go.jp/040903green.pdf
 ・「新エネルギー産業ビジョン」
   http://www.meti.go.jp/press/0005361/index.html
(3) http://www.hitachi-ies.co.jp/solution/syouene/kaishu.htm
(4) http://www.pref.kanagawa.jp/press/0403/23042/syousai3.htm
(5) http://www.e-yorozu.com/products/micro/index_j.htm
(6) http://www.jepoc.or.jp/pub/1605/1605-24.htm
  http://www.oita-press.co.jp/read/read.cgi?2004=04=14=893571=chokan

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