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2009.4.6 |
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制御棒挿入事故で考えるべき点…2009年3月、操作もしないのに、制御棒が動作するという事故が突然3件も発生した。
発電能力を落とす方向の事故だから危険性は薄いとはいうものの、制御レベルの低さを示唆する誤作動と言えよう。 2008年にも、制御棒の過挿入事故が報告されており、(1)弁にゴミが入ったため、水圧をかけたら動いてしまったとの原因解明がなされたようだ。(2) 1993年には、水圧駆動だけだったものに、モータによる電動駆動を加えたりする方式が登場したのも、水圧制御の難しさからきていそうだ。(3) おそらく、水圧制御の仕組みが複雑すぎるということだろう。想定外の部位に、水圧がかかると、勝手に制御棒が動いたりするようだ。 どうも、これを無くすのは難しそうだ。制御棒引き抜けで予期せぬ臨界事故を発生させた前歴があり、水圧制御については徹底的に対策が練られたに違いないからだ。(4) 今回も、事故原因究明に力が注がれるのだろうが、折角の機会だから、事故対応をどのように進めたのかも総点検して欲しいものだ。言うまでもないが、一般的な総点検をお勧めしている訳ではない。 検査作業とか、再開試験業務に際しての、安全性担保の仕組みが現実にどう運用されているのか、3件を比較検討できるのでよくわかると言っているにすぎない。 一般に、機能試験の場合、緊急安全装置等を停止させたりするし、中央からのコントロールを外してしまうことが多い。しかし、試験時に限って稼動する特別な安全システムが存在するとは思えない。 このことは、試験の最中に予期せぬ事態が発生すると、かなりのリスクに晒されることを意味する。もっとも、それだけで、大事故に繋がる可能性は極めて低いが、ミスが重なって、悪い方向に進んだりすると、予期せぬ結果を招く恐れがあるといったところ。 このような場合、リスクを減らすために、「手順遵守」運動を繰り広げたところで、意味は薄い。恣意的に安全装置を外して稼動を確認する手の点検だと、「フェイルセーフ」の仕組みはないし、複雑な操作だと100%マニュアル通りに行うことが現実的とも思えないからだ。 水圧制御では、どのような現象が発生するかはよくわかっていないのだから、マニュアル厳守ばかりに力を入れることを要求するのは考えもの。対応作業がマニュアルどうりでなくも、問題が拡大しないように対応できる体制になっているか確認することが重要ではないか。 --- 参照 --- (1) 2008年11月8日 福島第2原発3号機[東京電力] 定期検査で停止中に制御棒の動作試験を行ったところ、操作していない制御棒が過挿入された。 http://www.tepco.co.jp/cc/press/08110801-j.html (2) 「東京電力兜沒第二原子力発電所3号機の 定期検査中における制御棒過挿入に関する原因と対策について」 原子力安全・保安院 [平成20年12月4日] http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2008/genan079/siryo1.pdf (3) http://www.atomin.go.jp/atomica/pict/02/02010101/12.gif (4) 「志賀原子力発電所1号機 第5回定期検査期間中に発生した 原子炉緊急停止について」 北陸電力株式会社 [平成19年3月15日] http://www.rikuden.co.jp/press/attach/07031501.pdf (BWRのセルの水平断面図) [Wikipedia] by Stefan-Xp http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Brennelement_Gruppe.png エネルギーの将来の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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