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魚の話  2005年4月15日
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かさごの話…

 磯魚の 笠子もあかし 山椿 水原秋桜子 城ケ崎での句

 カサゴは春の魚のような感じがするが、夏の方が合っている気もする。
 もっとも、冬モノが脂がのって一番美味しい筈だが。

 ・・・と考えていくと、要するに、どの季節でも大きく味が落ちることがない魚ということになる。一年中獲れるし、実に有難いことだ。
 しかも、全国何処でも釣れる。ただ、岩場のすみに潜んでいるらしく、根こそぎ獲る漁法が成り立たないし、非効率だから養殖も進むまい。おそらく、この先も安価に入手することは難しいだろう。
 もっとも、そのお陰で、獲れなくなることはなさそうである。今後もずっと楽しませてくれそうな魚だ。

 カサゴの料理では、なんといっても、煮付けが最高だ。
 しかし、期待していても、料理人の手によっては、薄味すぎたり、煮汁の味が滲みていない時もある。そんな時は本当にがっかりだ。たとえ、春らしさを感じさせる菜の花や、付け合せのささがき牛蒡が、いくら美しくても、味付けが今一歩だとすべてが台無しである。

 煮付けに次ぐ美味しい料理は、唐揚げである。
 さっと片栗粉をふって、2度揚げしてくれるだけで十分美味しい。余すところなく食べられる。好みで、塩をふれば、これぞカサゴという醍醐味を楽しめる。特に、骨の食感がこたえられない。もともと身が少ないから、この料理法はカサゴ向きともいえる。

 淡白な食事を好むなら、酒蒸しもよいかもしれないが、カサゴの良さは消えてしまう感じがする。
 というのは、もともと身に癖がほとんど無いから、あっさりした料理はつまらないからである。煮付けや唐揚げに合った魚だと思う。無骨で骨っぽそうに見えるが、骨は簡単にとれるし、皮も結構美味しい。

 しかし、煮付けと唐揚げが最高と決め付ける訳にはいかない。
 身に癖がないから、煮込み・ブイヤベースにしても、絶品である。

 これだけ美味しいと、鯛のように、行事の料理用食材に最適である。
 ということで決まったかは定かではないが、端午の節句に使われるそうだ。顔を眺めれば、鍾馗さんや武者人形と似て、勇壮な感じがするから、選ばれたのだろう。

 しかし、カサゴといっても、無骨派ばかりではない。
 食べれるのか知らないが、優雅なカサゴもいる。ミノカサゴである。

 水族館で見ると、水中に浮かんでおり、熱帯魚より美しく、華麗で、思わず見とれてしまう。こちらは、岩の間にじっと隠れるタイプではなさそうだ。これを同じ種と見なすのは、実態にそぐわない感じがする。

 もっとも、綺麗だからといって近づくと、鰭の先にある毒棘にやられ酷い目にあうそうだ。英語ではSCORPION FISHと言うらしいが、名前通りである。
 美しいものには棘がある。
 但し、カサゴの場合は、無骨ものにも棘がある。


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