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魚の話 2005年9月9日 |
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かますの話…干しかます 酒の肴に 求めたり 武田清子(1)その通り、と膝を叩きたくなる句である。 カマスとは普通はアカカマスのことである。但し、ヤマトカマスも干物では結構いける。 この他に、アオカマスがある。こちらは、夏が旬で大型で、余り美味しくないらしい。 言うまでもないが、カマスは干物に限る。それも初秋の新鮮なもの。 もっとも、冬が美味しいと書いてある本もあるが、味はともかく、寒くなって愉しむ手の魚ではないと思うのだが。 「和漢三才図会」に“備前から多くひものとして出荷している”と記載されているそうだ。昔から、干物が好まれており、「只炙り食ふによし」なのだ。(2) スーパーには丸のままのカマスが売っているが、こちらはおそらく輸入ものだろう。 細いから、秋刀魚のように塩焼きがよさそうだが、身が少なく余り食べやすいものではない。秋刀魚なら刺身にできるが、カマスは全く向かない。 カマスを楽しみたいなら、自分で干し物にするのが一番である。開いて、丁寧に水分をふき取り、塩を振って、冷蔵庫で約30分、その後、扇風機で1時間程度風をあてれば完成だ。尚、商売モノは背開きだが、素人は腹でも背でも気にならない。 干す場所が無いなら、おそらく、浸透圧シートで十分水分を抜いてから、塩を振ってしばらく放置するだけでも結構な出来になるだろう。水気が多すぎるから、減らせば美味しくなるだけのことだと思う。 要するに、切れる包丁を使える人ならなんとかできる程度の作業である。但し、小骨を丹念にとるなど面倒な作業を厭わない几帳面さが要求される。 もっとも、それで終わりではない。風を当て始めてからも、ちょいちょい見に行く熱心さが味を左右する。乾燥しすぎれば、美味しくなくなるからだ。美味しいモノ作りは熱意なくしては成り立たない。 言うまでもないが、製作者に情熱があっても、モノが新鮮でないと駄目である。 あとは、魚臭さが充満しても文句がでないことを確かめておかないと、一大争議勃発は間違いない。 そして、猫を飼っていないこと。これを忘れると、折角の労働成果が灰燼ときす。 まあ、はっきり言って、酒を愉しむための、お遊びである。 しかし、一端はまると、釣りと同じで止められなくなるようだ。そうなると、「干物用ネット」を購入することになる。100円ショップでも登場するようなモノになっているから、結構、自家製干物愛好者は多いようだ。 --- 参照 --- (1) http://www.hassui.co.jp/gallery/tanaka/saijiki-11.html (2) 魚類文化研究会編 望月賢二監修「魚と貝の事典」柏書房 2005年 --- 附記 --- 上記事典によると、カマスの名前は、叺(口偏に入)からきたそうだ。穀物や石炭を入れる袋のことで、カマスの口が煮ているからだという。そんなものなのだろうか。 「水産名彙」では漢字は、梭魚(さぎょ)となっているが、ブリと同じ文字で赤鰤と書いてもよいようだ。 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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