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魚の話 2005年9月16日 |
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くえの話…クエの顔 志村喬に 似ていると つくづく思う 春のうららに 森田小夜子 [朝日歌壇 2005年5月2日] ハタの1種であるクエ(1)が高級魚とは知らなかった。良品だとキロ当たり1万円を越すことも珍しくないそうだ。 相当前だが、コーラルアイランドの雰囲気を模したお店で、遊び仲間とハタの唐揚をつまみにお酒を酌み交わしていたので、そんな高価な魚であることに驚いた。癖が無く脂がのったブツ切りの白身は、肉が締まっており、美味しかったのは確かだが。 しかし、高級魚の値段を払った覚えが無い。宴会好きのオーナーのサービスだったのだろうか。それとも、・・・。 ハタは岩場に一匹狼的に棲む大型の魚だそうだが、クエはそのなかでも巨大らしい。 ところで、「ハタ」という名前は「斑」から発生した名前だそうである。 “ハタラ”の“ラ”が欠落して「ハタ」となったという。“ハ”が欠落したのが「タラ」だ。さらに、「タラ」が変化すると「アラ」になるという。(2) 確かに、どれも白身の大型魚で風体が似ており、「斑」という表現がぴったりの感じがする。体全体が大きいだけでなく、頭でっかちだし、口も大振りで、勇猛な印象を受ける。それこそ、魚の世界の君主かもしれぬ。 要するに、北方は「タラ」、南方は「ハタ」で、間に棲むのが「アラ」ということか。 と思ったら、間違いだった。それぞれ別で、タラ科、ハタ科、スズキ科だそうである。 ところでハタのなかでも王者といえそうなクエは、大相撲九州場所のチャンコ鍋の材料になるので有名なのだそうだが、和歌山県日高町が町おこしの材料としてクエを使っているので、今やここが本場になりつつあるようだ。(3) こんなことを続けることができるものだろうか。 クエは根魚なのである。この手の魚は大きくなるのに時間がかかる。といって、幼魚を養殖して放流したところで、簡単には大物に育たない。 美味しいからといって、大騒ぎして一度に獲ってしまえば、小物しかいなくなる。 町おこしは結構だが、クエの方はさらなる高級魚の道を選んでいると見てよいだろう。 おそらく、都会で登場する白身魚はもっぱら輸入ということになろう。 “ギンダラ”こと「メルルーサ」は今では誰でも知っている。(“銀”はモドキの意味)今や、タラと値段はたいして変わらない。 そのため、ファーストフードや惣菜の白身魚フライは脂がのった通称“ギンムツ”に地位を奪われたようだ。(多量の脂のお蔭で冷えても堅くならない.)こちらは「メロ」。この名前はまだ普及していないようだが。 さらには、あっさりした「ホキ」も、・・・。(4) そして、“ニュージランドオオハタ”と呼ばれる「ハプカ」も来ている。クエかアラと同等品と見てよいだろう。 獲れる魚ならなんでも食べてみようということである。おかげで、もともと余り獲っていなかった大型魚が南半球の海から日本と米国へと向かう。早晩、資源枯渇に直面することになろう。 --- 参照 --- (1) くえの画像[(C)東海大学海洋科学博物館] http://www.umi.muse-tokai.jp/encyclopedia/fish/ke_l.html (2) http://www.shunmaga.jp/zukan/gyokairui/ara/ara.htm (3) http://www.town.hidaka.wakayama.jp/kue/main.html 10月第1土/日曜には白鬚神社で喧嘩ごしのクエ祭 http://www.town.hidaka.wakayama.jp/kue/far.html (4) 外来種の名前 http://www.jfa.maff.go.jp/release/15.03.28.1.3.html 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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