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魚の話  2005年10月14日
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えびの話…

 禁解けぬ 伊勢海老料理 夜の膳に 小原菁々子

 年中出回っているので、海老に旬の感覚はなくなってしまった。
 と言うより、観光客を呼ぶために、寒い時期に地場の海老料理を宣伝を聞かされるから、冬を旬と間違いかねない状況に近い。旬に正解などないが、車海老が夏で、伊勢海老は秋らしい。この時期が一番美味しいのは間違いないという。

 そんな情報に無関係なのが現実の食生活である。ほとんどが輸入品だからである。

 その量には恐れ入る。通関ベースでは、ピーク時(1994年)にはなんと32万トンあったのだ。一人当たり年間3キログラム近く食べた勘定である。小振りのものなら約100匹に当たる。卵と並ぶ完璧な日常惣菜用の食材といえよう。

 ここまで好かれるのは、食感がたまらないからと考える人が多いが、本当だろうか。生食が廃れないという点を重視すればその通りかもしれないが、食べるのが面倒でも、これだけ沢山食べるのだから、それだけでは説明がつくまい。おそらく、肉に含まれるアミノ酸が欲しくてたまらなくなるのだと思う。

 輸入の数字を見ると減ってきたが、逆に加工品(エビ調整品)の輸入は増えている。両者をまとめれば、常に30万トン程度の輸入が続いているということだろう。まさにエビ大好き民族である。

 もっとも、世界のエビ生産は400万トンを越えている。貿易も盛んである。日本だけではなく、米国やスペインなど、先進国の住民はエビは大歓迎なのだ。(1)

 統計数字はシュリンプとプローンとなっているが、細かくみれば様々な海老が含まれる。エビの種類は多いのである。
 要するに、小型(甘エビ系)、平べったい遊泳型(車海老類のブラックタイガー等)、ずんぐりとした歩行型(伊勢海老/ロブスター)の3種類と考えればよいのだろう。
 言うまでもなく、ここまで安価なエビを食べられるようになったのは、アジア各国がブラックタイガー養殖に力を入れたからである。
 (津波の被害が大きかったので暴騰すると思ったが、それほどでもなかった。)

 養殖といえば、タイの日系の冷凍食品工場(1988〜1991年ごろ進出)が有名だから、タイが圧倒的に優位と思いがちだが、そうとも言えないようだ。膨大な生産量の中国とこれを追うインドネシアとインドが大どころで、タイとベトナムがこれに続くといった、つばぜりあい状況らしい。

 競争が激しいから、エビの収穫から調理まで、管理の精緻化には力が入っている。黒い背わたが無いモノを見かけるが、これは水揚げの前に餌止めをしているのだという。こんな地道な努力のお陰で、日本向けエビフライの品質は高いし、寿司ネタや天麩羅はどんどん美味しくなっていくそうだ。

 しかしながら、いつまでも、こんな競争を続けることはできないだろう。

 養殖池といっても泥質で、水の還流だけで飼育環境を保つのは難しいからである。土は遠からず疲弊する。そうなると、養殖場は捨てるしかない。次々と新しい養殖場を開発しない限り、ビジネスは続かないのである。
 養殖に適した土地は無限ではないし、マングローブ林保護運動も盛んだから、土地の使い捨てを何時まで続けられまい。

 もっとも、バングラデッシュの土地は広大であると語る人もいるそうだ。
 古来から、日本人は海老を大切にしてきたらしいが、今や、そんな伝統は消え去ってしまったようである。

 --- 参照 ---
(1) FAO FISHSTAT Plus http://www.apfic.org/modules/mylinks/visit.php?cid=6&lid=4
 

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