トップ頁へ>>> |
魚の話 2005年10月21日 |
「魚」の目次へ>>> |
|
さざえの話…江ノ島の 風ゆるびいる 焼栄螺 山中蛍火“サザエは江ノ島である。”という話を聞いたことはないが、昔はそうだったかもしれない。 江ノ島というと、最近は、リニューアルした水族館(1)の話題でもちきりだが、江戸時代は一大人気観光地だった。 歌川広重「相州江之嶋弁才天開帳参詣群集之図」(2)を見ると、引き潮で陸続きになった時の大雑踏ぶりがよくわかる。 もっとも、諸国名産の図の方を見ると、「相州 江の島産 鮑かす漬 貝細工」(3)とされている。昔はサザエではなくアワビだったようだ。 どこまで本当かわからぬが、源頼朝と北条政子が源氏再興の旗上をする直前、熱海の伊豆山走湯権現様で、漁師から「さざえの壷焼」をふるまわれたという話を近くの旅館で聞かされた覚えがある。 伊豆山神社と言えば今では縁結びの神様(4)として有名だが、当時は僧兵をかかえて、この辺り一体を支配していた一大勢力だった。 戦勝祈願にはサザエという風習があったのだろうか。 桃の節句には、鯛、蛤と共に、金花糖として登場するから縁起ものであることは間違いなさそうだが、戦国時代の酒盛りの定番で、相模や伊豆の人々が特に好きだったたため、こんな話が残っているような気がする。 しかし、どうせ食すなら、壷焼より刺身の方が美味しいと思うのだが。 もっとも、コリコリとした食感以外に特別な旨みがあるかと訊ねられると答えに窮するが。 好きならそんなことはどうでもよいが、活きサザエを手に入れた時の一番の問題は、どうやって貝から生身を引き出すかだ。 料理人に聞いたら、「貝むき」なる器具があり、蓋の隙間に回し入れると、蓋が簡単に外れるという。それでは、道具を持っていない素人には無理かというと、そう難しくはないそうだ。 専門家の簡単とは、素人には大事であるから、なんともいえないが、聞いているとできそうな気になる。 蓋を下にして静かにしておくと、そのうちほんの一寸口を開けるらしい。もっと沢山開けたいと思うなら、水に浸かりそうで浸からない位置におくと、水が欲しくて身が出てくるという。なるほどと唸ったが、教えてくれる人がそんな面倒なことをやっているとは思えないから、どこまで本当かわからない。 とはいえ、蓋に隙間にフォークを差し込んで、ナイフで筋肉を切れさえすればなんとかなりそうだ。 失敗してもともとである。駄目なら、壷焼きで愉しめばよいだけの話だ。 壷焼なら誰でもできる。中身が沸騰してこぼれないよう注意するだけのことである。一番美味しいエキスを失ってしまっては元も子もない、と思いながらこぼれてしまうのだが。 壷焼も、どこが美味しいのかきかれると結構答えが難しい。独特の磯臭い香りを楽しみながら、ほろ苦さを味わうのが愉しいといったところだろうか。 要するに、酒のつまみに合うということだろう。 --- 参照 --- (1) http://www.enosui.com/greeting/index.html (2) http://www.mus.city.fujisawa.kanagawa.jp/docs/alacarte/enoshima/heritage/c05_15.html (3) http://www.mus.city.fujisawa.kanagawa.jp/docs/theme/theme02/theme_img/g01_13.jpg (4) 伊豆韮山の小豪族の娘北条政子が流人の源頼朝と恋に落ち, 反対の父は縁組を図るも, 結局駆け落ち.‥という話からか. (5) “サザエのさばき方”[勝島魚店] http://www.katusimasakanaya.com/sazae/sabaki-sazae01.html 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2005 RandDManagement.com |