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魚の話 2005年11月4日 |
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あじの話…夕鯵を 妻が値切りて 瓜の花 虚子アジには様々な種類があるとのことだが、マアジ以外はよく知らない。 とはいえ、大ぶりで刺身として出てくる縞鯵や、「くさや」の原料のむろ鯵には馴染みがある。 さらに、春すぎに関西に行くと、丸鯵なる激安品にでくわすことがある。一度に獲れすぎるタイプの鯵なのだろうか。 話をきくと、マアジの方は平鯵と呼ぶそうである。 これ以外にどんな鯵があるか皆目分からないので、魚屋さんに聞いたが、よく記載されているような名前のアジは市場でも滅多にみかけないそうである。 要するに、ほとんどの場合、鯵といえばマアジと思ってよさそうだ。 用途というと、どうしても、寿司、タタキ、刺身、といった生ものを並べてしまうが、アジフライも結構多いそうだ。 しかし、なんといっても代表は「アジの開き」だろう。 ところが、この「アジの開き」、消費離れが顕著と言われている。 材料が“新鮮”で、調理が“便利”、かつ品質が担保できるものを要求しているから、人気が落ちているようだ そもそも、面倒な食べ物が嫌われる時代に、鋸の歯のように堅いゼイゴをつけたままにしておくから、こんなことになるのだ、と言いたくもなるが、いたしかたあるまい。 などと考えていて、急に思い立って、「アジの開き」を食べに定食屋に行ってみた。 (正直に言えば、昔懐かしい駅前食堂の流れをくむ、健康食提供で成長中のチェーン店がどのような調子か、見にいったのであるが。) メニューは50種類も並んでおり、アジの開きはメインではなさそうだ。 だが、「魚一夜干しトロあじの開き定食(834kcal)」がある。料理がきて驚いた。アジとは思えないほど大きい。身が厚く、脂ものっている。これに漬物、海草の小鉢、油揚げのお味噌汁がつく。 これで、693円。 一方、最近開店したご近所の7席しかない小さな食堂にも入ってみた。ここは、一汁三菜メニューだけである。種類も僅か。 メニューの一番先頭は「アジ干し」。次に続くのが「サンマ干し」。 こちらのアジは小振りで身も薄い。極く普通の開きである。これを、遠火の強火が可能な専用ガス器具でしっかりと焼いてくれる。これに、簡単な漬物、ちょっぴりの青菜の小皿、玉葱のお味噌汁がつく。 このお店は、ご飯の美味しさがウリ。好きなら、玄米ご飯でもよい。 これで、1,100円。 実は、前者は、原材料確保が困難ということで、この定食を休止してしまった。予想以上に人気がでたのかもしれない。 後者は、食材にこだわる店だが、特別な魚を仕入れるようなことはしないそうである。材料そのものより、しっかり仕事をする業者を選ぶ方針だという。 どちらのアジが美味しいかときかれると、答えに窮する。 好き好きだと思う。 実は、両者とも、本当に美味しい一夜干しとは言えなかったからである。 おそらく鮮度の問題だと思う。 それなら、水揚げされる近辺の干物産地で食べると美味しいかといえば、疑問である。 おそらく、売っている干物の大半は地場産の獲りたての魚ではない。 地物の鯵をわざわざ開きにして安く売る筈がないからだ。ほとんどの魚は料亭か築地に直行となろう。 本当に美味しい干物は限定品だと思う。 一度、そんな干物を旅館の朝食で出してもらったことがあるが確かに絶品だった。 もちろん、この手の干物は東京でも手に入るが、それまでして食べようという気にはならない価格である。 しかし、このところブランド品ばやりなので、開きもプレミアム品が結構流行っているようだ。
色々なブランドがあるが、「アジの開き」なら、選び方は難しくはない。 脂がのったものをお好みなら、それに合った海域の産をで選べば無難である。国産なら、山陰から対馬・五島列島に至る海域がベストだろう。 勿論、この辺りの韓国産も変わるまい。 統計を見るとオランダやアイルランドからの輸入モノが沢山入っている。 こちらも同じように脂がのっている筈だからお奨めである。輸入ものより国産が上物ということは無いだろう。鮮度の違いだけである。 一方、太平洋側産は相当違う。脂ののりは薄い。見るだけですぐにわかる。身が赤っぽくて薄いからだ。 従って、焼くと、かさかさした感じになる。しかし、これはこれで美味しいと思う。 あとは、塩のつけかたと、開き方の技術で、違いがでる。 丁寧に、かつ素早く開いたかの違いだ。 尚、天日干しをウリにしている商品もあるが、どんな環境かはっきりしていないものが多く、鵜呑みにしない方が無難といえよう。 真面目に機械干しをすれば、好い加減な天日干しより上質なものができるのは間違いあるまい。 ともあれ、「アジの開き」は安価な商品であるべきだと思う。 脂分が酸化しないように気を使えば、それだけで十分美味しい筈である。 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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