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魚の話 2005年11月25日 |
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さばの話…鯖の旬 即ちこれを 食ひにけり 虚子 「みんなでこのサバナベをつつきながら酒をぐびぐびと飲んでいく、というのはなかなか豪勢な気分であった。」(1) ここで語られているサバナベとは、パチンコ屋の景品のサバ缶と八百屋からもらった野菜からなる、味噌鍋のことである。尚、お金の余裕がある時は、これに豆腐や白滝が加わるそうだ。 これを書いた人は流行作家になったから、サバ缶とは遠い昔にオサラバしていると思う。しかし、この本のお陰で、サバナベは結構人気がでたらしい。 おそろくしく特殊な料理だが、これこそが、サバの位置付けをよく表している思う。 もちろん、鯖には高級料理もある。 大分市(佐賀関町)の「関サバ」の刺身、若狭の「焼き鯖寿司」、祇園の「鯖姿寿司」などだ。 これらの本物は、芸術的な領域に近い。最近は、こうした高級品に人気が集中しているそうで、偽者もあるというから驚きだ。 しかし、大衆魚のポジションだけは守り続けて欲しい。 鯖の味噌煮や船場汁といった定食向けの料理が廃れないことを祈る。一度に大量に作れるので、学生や働く人達を支えてきた食材の伝統が消えるのはさびしいかぎりだ。 サバ缶ナベの真似など止めて、本当のサバ鍋を作って欲しい。大してお金がかかる訳ではない。 但し、缶詰よりは多少手間はかかるが、圧倒的に美味しい。 先ずは、鯖を3枚におろし、湯通しする。あとは、大根と韮を入れて煮るだけ。手に入るなら、茸を加えると味が深まる。尚、出汁は不要だ。 普通はポン酢醤油で食べる。生の柑橘類(すだち、かぼす、レモン、等)があれば、直接鍋に入れると、より香りを楽しめる。 サバ鍋に合うのはなんといっても日本酒か焼酎。ワインやビールは今一歩である。 サバ缶ナベの定番は、合成酒大手メーカー製「ゴールデン 利休 1.8L \1,058」(2)らしいが、ちょっと酔狂がすぎよう。これは料理酒である。 つまらぬ真似は止めるべきだ。 そういえば、非常識な鯖食を勧める人がいるから注意した方がよい。 例えば、新鮮だからといって、鯖の刺身を食べさせようとする。何を考えているのだ。 「関サバ」は回遊魚でないから生で食べるのだ。北の海から下ってきた回遊魚とは違う。 北の海には寄生虫(アニサキス)がいるのだ。当たる冒険までして、食べるような魚ではあるまい。 鯖の大半は飼料になるのである。 --- 参照 --- (1) 椎名誠著「哀愁の町に霧が降るのだ」新潮社 1991年 (2) http://www.ebisuya.jp/shopping/01_sake/etc/rikyu.htm 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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