トップ頁へ>>> |
魚の話 2006年1月6日 |
「魚」の目次へ>>> |
|
はまぐりの話…見事さに 蛤ひとつ 焼れけり 尾崎紅葉貝を見れば、「浜栗」という意味であろうと、すぐに想像がつく。 言葉は可笑しいが、実に貝らしい、貝である。 貝合わせで遊んだり、紅入れとして使用していた位だから、そこいらの浜に行けば必ず見かけたのだろうが、今や高級品扱いである。 その代わりに、代替品が幅をきかせている。 その一番手はチョウセンハマグリ。 朝鮮と名前がつくから国内にはいないのかと思ったら、そうではなく、湾内の浜でなく、沖で獲るのだそうだ。殻が厚いので、碁石はこの貝で作っているとか。 代替といっても、結構美味しい。 このため、余り獲れないようだ。 貝好きが多いから、これだけではとても足りない。当然、輸入に頼ることになる。 それが、シナハマグリとという品種。 こちらは、小粒で味は今一歩。しかし、値段を考えれば、価値は十分あると言えよう。 しかし、本場といえば、やはり「その手は桑名の焼き蛤」の、桑名だろうか。今でも、漁は行われているが、漁獲量は微々たる状況である。(1) もっとも、こんな言葉は若い人は全く知らないようだが。 十返舎一九「東海道中膝栗毛」に登場するほど有名というふれこみの観光案内ばかり目立つが、下ネタ本を使って高級な貝料理をお勧めするセンスはどうもしっくりこない。 桑名は東海道五十三次の浮世絵に限る。(2) 松ぼっくりで焼くというのも、面白いし。 蛤料理なら、家庭でお気軽につくっても十分楽しめる。 といって、焼網は面倒だからお奨めできない。本によく美しい写真が載っているが、そう上手くはいかない。 両面焼くのは至難の業ではないかと思う。焼いて口が開くと安定しないからである。 バランスを崩して、流れ出る汁を見るほど辛いことはない。 そんなことなら、フライパンで作る方が利口というものだ。 先ずは蓋をして蒸し焼状態にする。口が開けかけたら、貝を裏返すだけのこと。後は、口が開いたら、すぐに火から下ろすだけ。なんということはない。 ハマグリは、身ではなく、エキス分が真髄だ。火が通りすぎて身が堅くなったら台無しである。これだけに注意していれば、十分美味しい。 冬は、江戸風に「蛤の小鍋したて」と洒落込んでみたい。 簡単な料理である。 先ずは、鍋に水を張ったら、出汁昆布を入れ、そこに酒を適当に加える。用意することと言えば、手頃な葉ものを切っておくこと位。 鍋が沸騰したら、昆布を捨て、ハマグリを入れる。口が開いたら、直ぐに火から下ろして、葉ものを全部入れてしまう。 これだけ。 おっと、忘れてならないのは、辛口の清涼感ある酒である。2月頃なら新酒を傾けるのも、一興である。 --- 参照 --- (1) http://www.nissinfoods.co.jp/culture/academy/biken/series_13/series/index.html (2) 香蝶楼国貞(三代歌川豊国)画 桑名 http://www.kabuki-za.com/syoku/2/no85.html 尚, 「火鉢を軒端に出して蛤を焼く. 桑名の焼蛤はこれなり.」で有名なのは, 広重の東海道名所絵図富田立場之図. http://nagoya.cool.ne.jp/gakubee/ukiyoe/ukiyoe2.htm 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2006 RandDManagement.com |