トップ頁へ>>>
魚の話  2006年1月13日
「魚」の目次へ>>>
 


ひらめの話…

 器用貧乏 網の平目を 裏返す  山本詩翠

 寒い時期の天然ものの高級魚といえば、ヒラメだろう。夏より2〜3割高になる。といっても、輸入ものも多いし、養殖モノもあるから、判然とはしなくなっているが。

 2006年の浜値をチラと聞いてみると、Kg当たりだいたい5,000〜7,000円といったところだろうか。
 もっとも、この値段で東京の料理屋に入る訳ではない。間に流通業者が入るから、おそらく仕入れ値はこの3倍になるだろう。別に暴利という訳ではなく、この程度でなければ成り立たないだけのことだ。漁師も、料理屋も、個人事業に近い上、集団化を嫌うから、こうした体制が何時までも続いているのである。

 お陰で、材料費だけで結構なお値段になる。
 ヒラメ1匹から採れる身の部分を考えれば、いいところ4割しか使えないから薄作りが高価なのは致し方あるまい。
 といって、他の料理に比べて超高額な価格をつければ、お客さんも流石に呆れて料理屋を離れかねないから、少量のお皿で提供するとか、ヒラメの利幅だけ利幅を薄くするといった対処をすることになる。

 ということで、釣り師にとっては、ヒラメは釣果を誇るのに最適な魚である。1mを越える大物もあるから、勇んで出かける。しかし、常識で考えればわかるが、プロがなかなか釣れないのに、アマチュアがそうそう獲れる筈がない。
 要するに、道具を揃える口実である。高級魚だから、道具に投資してもペイすると自分を納得させて、様々なものを揃えるのである。
 投資効率は悪いに違いない。料理屋で食べた方が安上がりだし、それに、薄作りはそう簡単ではない。フォアグラを越える美味しさと語る人がいる肝も、洗うのは面倒である。
 ・・・などと語るのは、釣りをしない人だけであるが。

 とはいえ、場所を選べば、2〜3Kgのヒラメは結構獲れるものらしいから、ヒラメ釣りは人気があるようだ。

 本格的にやりたい場合は、船頭さんがポイントをアドバイスしてくれる船釣りがお勧めらしいが、砂浜からの釣りが結構多いという。もっとも夏なら岸壁からでもよく釣れるらしい。

 船釣りでは小魚を餌にするようだが、浜釣りの場合は、小魚によく似たルアー“ミノープラグ”を使う。地場の魚に似たものを幾つか用意して、当たりがなければ変えるのが鉄則なのだと。
 簡単に聞こえるが、“ミノープラグ”は日進月歩の世界で、それはそれは美しいものが多い。ついつい新しいものを次々と買ってしまう釣り人の気持ちがよくわかる。ルアーは釣り人にとっては魚を獲る道具だが、釣り道具屋にとっては釣り人を獲る道具なのが面白い。

 素人考えだが、寒い季節が一番釣れそうに思う。ところが、釣りに入れこんでいる人の話では、浜釣りなら秋からせいぜい初冬までだという。

 本当だろうか。

 冬は寒すぎるということではないか。

 といっても、釣り人が寒さにめげることなどない。素人を誘うには、無理な寒さだと判断したと読んだのである。それに、ルアー釣りなら、生の餌が苦手な人でも大丈夫だ。

 釣りに興味を示すと、すかさず巻き込もうとする釣り人は多い。従って、釣り人の話は、よく注意しないといけない。
 釣り人は、日々、魚をどう釣るか考え抜いているから、素人の釣り方もよく知っているのである。


 「魚」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2006 RandDManagement.com