トップ頁へ>>>
魚の話  2006年1月20日
「魚」の目次へ>>>
 


まんぼうの話…

 マンボウの プロポーションに 見とれをり 高澤良一(1)

 マンボウは水族館の人気者である。
 もっとも、最近は、水族館だけでなく、道の駅でも飼われていたりする。(2)
 まさに、人寄せマンボウとなっている。

 マンボウは、海面に横になって、“ぼ〜”として浮かんでいることが多いという。海の流れに乗って、のんびりと外洋をただ漂っているのだ。
 そんな魚だから動きはいたって鈍い。ただ、驚くこともあるらしく、そんな時は、海中を結構泳ぐらしい。もっとも、方向転換や、敏捷な動きは大の苦手。そのため、飼うと、水槽の壁にぶち当たり死んでしまうという。
 飼うのも大変だが、大きくて重いから、生きたまま捕獲するのはさらに大変な仕事になる。

 鈍い魚なので、海から引き上げても、暴れずに黙っているそうだ。大きい目があるのだが、瞼も閉じてしまう。
 海の男たちも、これを見ると感慨を覚えるのかもしれない。

 生態はよくわかっていないようだが、寿命は結構長いようである。飼育の世界記録は2,993日だからである。(3)

 それにしても、不思議な魚である。

 もっとも、不思議なのは親だけではない。

 そもそも産卵個数が3億というから驚きだ。とんでもない数値である。ほとんど食べられてしまうことになる。

 どうした訳か、生まれたばかりのマンボウには親と違って立派な尾鰭がある。その形はフグに似ており、いかにも魚らしい。
 ところが、成長していくと、尾鰭が消えてしまい、今度は長い棘がでてくる。金平糖との表現がぴったり当てはまる変哲な形態に変わる。とてもマンボウの子供とは思えない。(4)

 これほど奇妙な魚の割りに、マンボウは結構どこでも獲れるようだ。市場に余り出回らないのは、漁師に食べられてしまうからかもしれない。身の持ちが悪いからではなく、蒟蒻のような食感でそれほど魅力ある味でもないし、常時獲れないから、購入者が少ないということだろう。
 この肉質と、鈍な動きから見て、マンボウはクラゲを大量に食べるのだと思われる。ほとんど水しかないものを食して、大きな体になるのだから、驚くほどの量を食べるのは間違いない。クラゲの大量発生は、実は、マンボウ減少のせいかもしれない。

 海の食物連鎖は複雑である。
 マンボウ君の役割は思っている以上に重要なのかもしれない。

 --- 参照 ---
(1) http://www.jfast1.net/~takazawa/dfrontpage/wagahaikuarakaruto/zounohaiku.htm
(2) マンボウ泳ぐ”日本一海水浴場に近い駅”「はまなすステーション」[宮城県本吉町]
  http://www.town.motoyoshi.miyagi.jp/sig/spot_5.htm
(3) 鴨川シーワールド『クーキー』(1981年12月〜1990年3月)
  http://www.kamogawa-seaworld.jp/info/06/info06.html
(4) http://research.kahaku.go.jp/zoology/uodas/ocean_sunfish/index.html
 

 「魚」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2006 RandDManagement.com