トップ頁へ>>> |
魚の話 2006年2月3日 |
「魚」の目次へ>>> |
|
めだかの話…最近の めだかは川で 学級崩壊 佐藤隆行[16歳](1)メダカは誰にとっても馴染みが深い魚だと思う。 授業に必ず登場するからだ。 おそらく、適度に丈夫で、飼育が簡単だからだろう。 筆者も高校生の頃、確かエナルモンとかいう名称のホルモンで、雌雄転換を観察した覚えがある。余りに不思議なので、じっくり勉強したいと思ったが、この分野は職を探すのが大変だから将来をよく考えてから決断しろと教師に言われた。バイオテクノロジーとかライフサイエンスが流行り始めるずっと以前のことだから、今では様変わりだろうが。 そんな経緯があるから、人より少しはメダカを知っている気になっていたが、全く無知だったことに気付いた。 昔から見ていたメダカはオレンジ色だから、これが本物と考えていたのだが、どうも鑑賞用の魚らしい。 日本に住んでいる野生の「めだか」は浅黒っぽい色をしているそうだ。 そういえば、田園地帯で見る小魚に、オレンジ色などない。田舎に住んでいた人なら多分常識だろう。 この常識は今や通用しないようだ。子供達がメダカだと騒いで獲っているのを見ることがあるが、ほとんどの場合は、ウグイとか、オイカワの稚魚だ。 メダカなら、背びれが後ろについているのだが、そんな小魚は一匹もいない。 昔は田圃がある所ならどこにでもいた筈だが、様変わりである。なにせ、名前は全国で4,453(3)あるというから、驚きだ。極く身近な魚だったのである。 見かけなくなったのは、日が当たり、流れのほとんどない清涼な水場でしか生きていけないからだろう。水田整備が進んでしまうと住む所が無くなるのである。 ・・・と考えていたら、関東では、ボウフラ駆除のために放流された外来種カダヤシ(top minnow)がメダカの卵・稚魚を食べてしまったからいなくなったのだと語る人もいる。 ともあれ、メダカは、今や「絶滅危惧種II類」である。 環境庁のレポートでは、ブラックバスやブルーギルの食害を指摘(4)しているが、どういう訳かカダヤシ問題は無視されている。素人から見れば、ブラックバスやブルーギルは住む場所が全く違う気もするのだが。 メダカ研究がステレオタイプ化しているのではないかと危惧される。 そもそも、メダカを「ダツ目」とする見方も気になってしかたがない。 確かに、サンマ、トビウオ、サヨリのような魚と形は似ているが、大きさも余りに違うし、本当なのか。 こんなことが気になったのは、野生メダカの遺伝子系統がわかっているからだ。 素晴らしい研究成果である。 田圃と共に生きてきた土着性が強い魚だから、日本民族と出自を共有している筈である。日本各地の民の興亡についてきたのは間違いあるまい。 分析結果によれば、日本に生息するメダカは1種で、北日本集団と南日本集団に大きく分かれるという。尚、北海道には存在しない。ちなみに、大陸には日本のメダカと異なる2つのグループが分布しているそうだ。 南日本集団は、さらに、東日本、東瀬戸内海、西瀬戸内海、山陰、北部九州、有明、薩摩、大隈、琉球の9つに分類される。(5) 思わず古代史に登場する国々の勢力範囲が目に浮かぶではないか。 そんなことも早晩わからなくなるのだろう。 改訂版レッドブックでは、メダカの絶滅レベルはさらに高まる可能性が高いからである。 --- 参照 --- (全般) http://www.katch.ne.jp/~me-da-ka/medaka/me-1.html [安城の用水をめだかの王国にしてしまおうと壮大な目標を立て在活動中の方のホームページ] (1) 第十一回伊藤園 お〜いお茶新俳句大賞 ユニーク賞 http://www.itoen.co.jp/new-haiku/11/unique.html (2) http://www.lbm.go.jp/emuseum/zukan/gairai/data/kadayasi_j.html (3) 辛川正部方言調査 [望月賢二著「魚と貝の辞典」柏書房による] (4) 林公義氏記載 http://www.biodic.go.jp/cgi-db/gen/RDB_G2000_DO.RDB_DETAIL?wamei=%a5%e1%a5%c0%a5%ab&bunrui_c=71&rank=VU&search_str=% (5) http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/housei/koukai01.html 酒泉満「遺伝的にみたメダカの種と種内変異 メダカの生物学」東京大学出版会 l990 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2006 RandDManagement.com |