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魚の話 2006年2月10日 |
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たらの話…たら船が ゆき暮れし 洲の雪明り 村上しゆら(1)時は2月。日差しは柔か。春の兆しだ。しかし、寒気の戻りもある。曇って、時々氷雨が降ったりもする。 メグレ警視のところに見知らぬ男から電話がかかってくる。数人の男からつけ狙われ、生命が危ういから、助けてくれと言うのだ。それも、逃げ回りながら、ひっきりなしにである。 そして、電話の主とおぼしき男が、コンコルド広場で無惨な他殺体で発見される。 死者の胃の中には鱈料理。 “豆のスープと、鱈のクリーム煮・ポテト添え”である。 [Une soupe aux pois, de la brandade de morue et une pomme] 有名な推理小説の冒頭場面である。(2) 冬は、やはり鱈料理ということだろう。 日本では、なんといっても、鍋だろう。と言っても、鱈の身をつくくというより、汁の美味しさを賞味するのが一番と言えそうだ。 鱈汁と雪道はあとがよい、と言われているが、その通りだと思う。 そんな嬉しい食材の割りには、「鱈」は安物イメージがあるのか、変てこな意味で使われることが多い。 “鱈腹食べる”程度ならそう悪いとも思えないが、“出鱈目”とか、“矢鱈”になると、そんな扱いをしなくてもという気になる。 最悪は、“不仕鱈”だろう。シダラは梵語sutra(修多羅)の当て字らしいが、なにも鱈を使わなくてもよさそうなものだが。 どうも姿が、いま一歩の魚なのであろう。 良寛も、余り良いイメージを持っていなかったようだ。 「寺泊に飯乞ひて こき走る 鱈にもわれは 似たるかも あしたには かみにのぼり かげろふの 夕さりくれば 下るなり」(3) しかし、文字の方は、魚偏に雪と、美しい構成になっている。雪のように白い身で、寒い冬の魚という訳だ。 言うまでも無く、「鱈」は純日本製なのである。 そして、この文字は中国に輸出され、鱈魚[xue yu](4)として使われているそうだ。 --- 参照 --- (1) 角川書店編「合本俳句歳時記」 (2) Georges Simenon著 長島良三訳「メグレと殺人者たち」河出文庫 新装新版 2000年(原著1948年) (3) http://www.asahi-net.or.jp/~SG2H-YMST/yamatouta/sennin/ryoukan.html (4) http://www.bigegg.net/a8.htm 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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