トップ頁へ>>>
魚の話  2006年2月24日
「魚」の目次へ>>>
 


べらの話…

 焼きて煮て べらの七色失せにけり  立花豊子(1)

 東京の魚屋では、ほとんど見かけないのが「キュウセン」である。

 釣り人に、“何だベラか”と捨てられる魚だ。(2)
 どういう訳か、一匹釣れると、次々とかかったりして、がっかりさせられる魚である。

 青緑色に鮮やかなオレンジ色の線が入った頭を眺めていると、珊瑚礁を悠々と泳いでいるイメージが浮かんでしまうから、なんとなく食べる気がそがれる。

 「キュウセン」とは不思議な名前だと思っていたが、9本の線があるからついたそうだ。もともとは「九線」の筈だが、「求仙」と書く人が多いようだ。
 人間のように、夜は横になって寝るとか、寒い季節は砂に潜って静かに過ごすと言われ、規則正しい生活をしているそうだ。
 酒飲みが多い釣り人が、殊勝な魚だということで「求仙」になったのかもしれない。

 ところが、この魚は、瀬戸内海では評価が一変し、高級魚になる。なにせ、古くから長崎県などから天然の稚魚を購入し、毎年100万尾前後を放流している位だ。(3)相当な人気魚と見てよいだろう。
 雌と雄で色合いが違うため、それぞれ赤ベラ、青ベラと呼ばれており、どちらがよいという訳でもなさそうだ。

 もっとも、釣り人が誇るのは、ひょっとすると一番釣れる魚であるからかもしれない。(4)  釣果を誇りたいのは、どこでも同じである。

 釣り人の話は冗談半分だから信用しがたいが、ほんのりと甘くて美味しいそうだ。
 熱帯のベラ系は余り美味しくなかった経験があるから、試す気にはなれないが。

 --- 参照 ---
(1) 毎日新聞社 いきもの歳時記[1999年6月18日]
(2) http://www.shunmaga.jp/zukan/gyokairui/kyuusen/kyuusen.htm
(3) http://www.pref.kagawa.jp/suisan/html/suisan/kagawanosakana/bera/bera.htm
(4) 神戸市立(須磨)の海づり公園(平磯)では一番良く釣れる.
  http://www.umiduri.com/fish/bera.html
 

 「魚」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2006 RandDManagement.com