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魚の話 2006年5月5日 |
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あかにしの話…赤西の 将棋相手は 行燈か 銀鮫鱒次郎(1)アカニシは刺身もいけるが、塩茹でしたものを薄切りして、山葵醤油で頂くのが基本らしい。もっとも、江戸前の一部だけで通用する話かもしれないが。 もともと、アサリなどの二枚貝を食べる肉食の巻貝だから、アサリの旨みが濃縮しているかもしれない。 実際、サザエより美味しいと言う人も多いという。 なにせ、「焼きサザエ」と称した商品が、実は、ペルー産のアカニシだったというから、本当かもしれぬ。(2) 日本では古くから食べられていたようだが、いつのまにか余り取れなくなったようである。 そのため、輸入が始まっているのだろう。 その一方、この貝は、海外へも進出しているそうだ。ペルー産がそれに当たるのかは定かではないが、黒海、アドリア海、地中海東部では繁殖しているという。(3) もっとも、地中海周辺では、クレオパトラの時代から、この手の貝を珍重していたそうだから、なんともいえないが。 この貝が有名になったのは、味もさることながら、やはり、貝染めである。(4)古代ロマンを感じさせる貝なのである。 と言っても、染色は大変な作業らしい。この貝のパープル腺から出る少量の分泌液を布にこすりつけ、太陽光(紫外線)に曝すのだが、ハンカチ1枚染めるのに、1Kg近い貝が必要だという。とてつもなく高価な染物だったことになる。(5) もっともロマンと言うと、「海ほおずき」を思い出す人も多いかもしれない。アカニシの卵嚢の中に入っている卵を取り出して干し、食紅などで染めただけのものである。お祭りや縁日では必ず登場したものらしい。 “・・・わたしゃほおずき 海ほおずきよ ソレ ドンブラ ドンブラ ドンブラコ・・・”(6)という歌がある位だから、この年代の人にとっては、なつかしさを通りこし、手に入るだけで涙ものかもしれない。 しかし、経験がない人にとっては、何が楽しいのか、といった所だろう。 「海ほおずき」遊びと言っても、穴が開いてるほうを下にして唇にはさむことで中の空気を出すだけのこと。これで、ブーというような音が出るだけ。その音が郷愁をさそうようだ。
そして、さらに驚いたのは、「海ほおずき」にも種類があるとの話。(7) 「海ほおずき」マニアが、この文化を伝承しているのである。 --- 参照 --- (1) 志賀直哉「赤西蠣太」 1917年発表の短編小説 赤西蠣太と銀鮫鱒次郎は親友. (2) http://www.miyagehin.com/topics2/kai.html (3) http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/04/04300.html (4) 吉野ケ里遺跡出土の貝紫染 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/k-yda1/k-ycq1/k-ysq1/k-yqa2.jpg (5) http://mytown.asahi.com/saga/news.php?k_id=42000139999990309 (6) 「海ほおずきの歌」[ 田中一郎作詞 山本雅之作曲] http://www.fukuchan.ac/music/jojoh/umihouzukinouta.html (7) “海ほおずきとは何ものか?” http://homepage1.nifty.com/nazonazohozuki/page1_1.htm (8) 市場魚貝図鑑[巻貝] http://www.zukan-bouz.com/zkanmein/kai.html (おことわり) カットはよく見かけるボウシュウボラ. アカニシは同じような巻貝だが, 口周りが赤色. 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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