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魚の話  2006年5月12日
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ひらまさの話…

  ひらまさや 乗合船の 明けそむる 村山国子

 ヒラマサを「平政」と書く人が多いようだが、おそらく、もともとの意味は平らな柾目板という意味だろうから「平柾」が正しいのかもしれない。
 しかし、魚体は紡錘形であり、板といったイメージからは程遠い。ブリと比較すれば、少し平らだという意味でしかない。従って、「平鰤」という当て字もよく使われているようだ。
 もっとも、相当昔のことだが、高級魚ヒラマサとブリの混血児ヒラブリを作出して、養殖するとの水産研究者の話を聞いたことがあるから、「平鰤」はすでに実在する魚になっているのかもしれないが。

 正直なところ、素人には、ヒラマサとブリは見分けがつかない。地域で棲み分けているならまだしも、一緒に泳いでいたりするからなおさらである。
 魚屋の店頭でも、一匹丸ごとのブリとヒラマサは並んでいない。これでは、残念ながら、比較練習もできない。

 もっとも見分け方を教えてもらえば、結構単純である。

 ・アゴの後の角が角張っているのがブリで、
   角が取れて丸みがあるのがヒラマサ。
 ・胸鰭が腹鰭と同じ長さなのがブリで、
   胸鰭が腹鰭より短いのがヒラマサ。

 なんだ、この程度の違いしかないのか、といった感じである。
 これでは、ほとんど差は無いと言ってよいだろう。素人には、とても判別できるものではない。

 但し、青モノ好きは、味で、両者の違いを知っているようだ。と言っても、夏はヒラマサ、冬はブリということで、旬で区別しているだけかもしれぬが。
 よく考えてみれば、暑い時に美味しい生魚がある筈もなく、ヒラマサの美味しさが目立つのだろう。

 と言うより、釣り人にとっては、夏釣りならヒラマサが最高ということを意味しているだけのことかも知れぬ。もともと温暖な海に棲むらしいが、伊豆半島の城ヶ崎海岸崖下の磯からでも釣れるという。
 オキアミのまき餌さえ用意すれば、名人でなくても磯で簡単に釣れると言う人もいるが、ヒラマサ釣り師はいかにも強者という感じで、真似などできそうにないが。

 スプリンターと呼ばれているそうで、一度でも、ヒラマサの引きの強さを味わると忘れがたくなるそうだ。一騎打ちが味わえる訳だ。
 おそらく、ブリとは違って、一匹狼的に生活している魚なのだろう。

 もっとも、いくら刺身が美味しいといっても、脂がのっているから、小人数で食べきれるものではない。従って、釣果を喜ぶのは、釣り人より周りの人達である。


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