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魚の話  2006年6月23日
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しいらの話…


  大物を 釣る気満々 現地入り  神楽さん [ハイクブログ]
 シイラは熱帯地帯の暖流に乗って回遊する魚だ。
 カリブ海、中米、太平洋の島々、インド洋、アフリカ東西海岸と、どこにでもいる。黒潮に乗って日本にもやってくる。

 もっとも、潮の流れによっては、日本方面に余り来ない年もあるらしく、シイラ釣りを楽しみにしている人達は、時期になると、今年はどうか来てくれますようにと祈るような気分で待ちわびるそうだ。

 日本に限らず、この魚は、ゲームフィッシングのお相手として有名である。(1)
 トップウオーターでヒットし、猛烈なファイトを見せるから、まさにスポーツそのもの。一回味わうと止められなくなるのも無理からぬところだろう。
 急成長する魚だから、食い意地が張っている。そのため、簡単にかかる。しかし、大物だと、釣り上げるのは並大抵のことではない。そこが、楽しい訳だ。

 名前は、Dorado、Mahi Mahi、Dolphin fish とイロイロだが、なんと言っても「金張り」との命名が一番派手で楽しい。日本語でいえば、瑠璃色に光り輝くとの表現になるところだろうが。(2)
 日本名は、「死平」と景気の悪いこと夥しい。水死体の下に集まっているからつけられたらしいが、嫌われものなのだろうか。確かに、日本人の感覚では、美しいと言うより、不気味感に近い。(3)

 もっとも考え方によっては、ボートで漂流していると集まってきて元気付けてくれる、優しい魚と見なすこともできるが。

 欧米型スポーツ釣りでは、記録モノを除けば、“Catch and Release”になる筈だが、肉食主体の米国でも、結構食材になっているようだ。ハワイでのMahi Mahi料理文化が広がっているのかもしれない。
 魚体が大きく、大振りの身がとれるから、バターでギラギラのソテーにでもすれば、ステーキ同様に腹も膨れるから人気がでているだけかも知れないが。

 一方、魚好きが多い日本では、釣り人を除けば、えらく人気が無い。これは、縁起の悪い名前のせいでもなかろう。
 水っぽい身なので、獲りたての生でもない限り、食べる気になる筈がない。他に、いくらでも美味しい魚があるのだから。
 そもそも、この魚は、延縄・曳縄・旋網でも獲れるし、定置網にもかかってくる。近海カツオ一本釣りでも混じるし、シイラ漬漁法まで揃っている。
 従って、獲る気になれば大量に獲れるのだ。しかし、陸に揚げても値段がつかないほど安いらしい。(4)
 とても商売にならないのだ。
 確かに、東京築地市場を歩いても、ほとんど見かけない。

 しかし、待てよ、である。

 この魚には、漢字名がある。
 魚偏に暑であり、いかにも熱帯の魚という感じがよくでている。
 こんな字があるところを見ると、本来なら、正式な食材として用いられてもおかしくない。

 という事で調べてみたら、なんと、北白川天神宮の「朝御饌の儀」のメニューに登場しているではないか。(5)出雲以来の伝統食だ。
  ・円錐形に盛り付けたもの3種---味噌をつなぎとした小芋(里芋)、大根膾、スルメ膾
  ・この前に3種---豆腐、白酒、飛魚
  ・後ろには飾りもの---シイラ

 と言っても、遠くから運んできたシイラの身を、都会で食そうという気にはならないが。

 --- 参照 ---
(1) http://www.bluewatermag.com.au/dec04feature2.asp
(2) http://www.kochinews.co.jp/tosaumai/tosaumai03.htm
(3) http://www.shunmaga.jp/zukan/gyokairui/siira/siira.htm
(4) http://www.marinelabo.nagasaki.nagasaki.jp/shikenjoho/PDF/siirasurimi.PDF
(5) http://kitashirakawa.com/maturi_index_003.html


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