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魚の話 2006年8月4日 |
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いちもちの話…グチばかり 夜釣り帰りの 重い足 ボウズの日詠みし と聞く イシモチはニベ科の魚だそうだが、眺めると、よく似た近縁種は結構多い。(1)市場では、イシモチではなく、シログチと呼ばれているようだ。 分類は明確らしいが、釣り人は学者とは違って、結構いい加減だから、人によって分類も違いそうだし、名前も勝手につけていそうである。 それに、夜釣りの魚らしいから、多少の違いなどどうでもよいような気もする。 お魚には失礼な話だが、ニベ科の魚すべてを、俗称のイシモチと呼んでも通用しそうである。 ニベには、魚偏に免という漢字があてられているから、昔から呼ばれていた名称だと思うが、滅多に耳にしない。関東では、昔から「石持」である。 内耳の三半規管に1〜2cmもある炭酸カルシウムの平衡石を持っているから名付けられたらしいが、面白い命名だ。耳石は、イシモチだけが持つものではないが、イシモチのは特に大きいから目立つようだ。(2) 頭部の奥に骨があることに、どうしてそれほど関心を持ったのか不思議な気がするが、昔は、魚を余すことなく食べたから、骨の形状について語る人が多かったので、印象が強かったのだろう。 それほど大きな魚ではないのに、耳石が大きいのは、棲む場所が磯で、潮が荒れるからなのだろうか。 シログチという名称は関西発祥のようだ。もともとは、「愚痴」からきているとのこと。 吊り上げられると、グーグーと音を出すからだという。(3) 大きな耳石持ちで、音を出すといった特徴は面白いが、この魚のウリは、なんといっても、大きな浮き袋である。これがあるからこそ、音が出る。 これぞ、知る人ぞ知る、中華の高級食材「鮑参翅肚」の一角を占める逸品である。(4) 乾鮑、干海鼠の「海参」、鱶鰭の「魚翅」と並ぶ、干し浮き袋「魚肚(ユイドウ)」だ。 良品は驚くほど高価である。しかも、戻すのが面倒だから、とても家庭で扱うような代物ではないが。(5) ゼラチン質の食感を楽しむのだが、おそらくコラーゲンの若返り効果で人気があるのだろう。 東南アジア(タイ)でも、干し浮き袋は食材として使われているが、中国の広東・福建辺りのニベの高級品とは違うようだ。 ただ、高級食材にはすぐに飛びつくと言われる日本では、不思議と人気がないようだ。 江戸の頃から、干鮑、干海鼠、鱶鰭は、中国に輸出していたが、魚肚ビジネスには手をつけなかったようだ。日本の海産物は垂涎のまとだったから、やりそうなものだが、浮き袋には良いイメージが無いのかもしれぬ。 グチをタネにすれば、高級な蒲鉾・薩摩揚げになるのだから、魚そのものが嫌われている訳でもないのだが。 一方、隣の韓国では、イシモチ(チョギ)を塩漬けにし、紐でつるし干したもの(クルビ)を、お盆・正月の贈り物に使うそうだ。無くてはならないもののようだ。イシモチは「国内で貴賎を問わず、もれなく食べていて、最もおいしい海産物」だという。(6) 全羅南道 霊光産の子持ちモノを炭火で乾燥させた高級品になると、大きさは小魚程度にもかかわらず、一匹1万円以上するというから驚いた。 もっとも、今では輸入ものばかりだろうから、希少性でそうなるだけのことかも知れぬが。 イシモチというと、なんとなく磯くさそうな大衆魚のイメージを持っていたが、これが高価な贈り物になるのだから、食文化の違いはわかりにくい。 そういえば、釣り人が、イシモチのユッケ丼を食べたと語っているから、韓国食文化が少しづつ入ってきているのかも知れない。 --- 参照 --- (1) http://www.zukan-bouz.com/zkanmein/fish2.html (2) http://fishing-forum.org/zukan/sanhtml/Y000088.htm (3) http://www.shunmaga.jp/zukan/gyokairui/nibe/nibe.htm (4) http://zh.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%9A%E8%82%9A (5) http://www.ohtaya.com/t000/t022.htm (6) http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=71996&servcode=100§code=120 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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