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魚の話  2006年8月11日
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あぶらぼうずの話…

  油坊主と 蒲鉾は 小田原がよい  単なる通説

 アブラボウズは、かなり大きい魚だ。
   神奈川県立生命の星・地球博物館の液浸標本[体重18kg 外房千倉沖水深800mで捕獲]>>>

 カナダでは、ミステリーフィッシュと呼ばれているそうである。(1)

 確かに不思議な風体で、存在感を感じさせる。その上、美味しいのか、不味いのか、諸説フンプンでよくわからぬ。一致している見解は、食べ過ぎると下痢をするという点だけ。
 このため、昔は販売禁止だったとの話もあるようだ。

 東京では、魚屋に並んでいるような代物ではないが。だいたい、「アブラボウズ」などという名前では敬遠されるのがオチだろう。

 ところが、刺身で食べるとたいへん美味しいらしい。小田原の魚屋には刺身用の切り身が店頭に並ぶ位だ。
 それにしても、どうして、小田原辺りで、寒い所が好きそうな深海魚が獲れるのか不思議といえば不思議である。
 “ゴクッと唾を飲み込んだ方は相当な魚通”(2)とのことだから、食べてみたい誘惑にかられるが、値段がチトお高い。地元では、超高級魚として通っており、小田原駅前繁華街の魚屋価格で一切れ1000円といったところだという。どうせ、冬季限定だろうが。

 なんとなくミステリアスな魚である。
 まあ、珍魚の類ということだろう。

 深海に棲む魚だから、ヒトには消化できない脂が含まれていて、腸がおかしくなる人もいるということではないかと思うが、実態はよくわからぬ。
 わざわざ調べようとする物好きもいないのかもしれない。

 などと言うと、失礼なことになる。

 もともと、素人でもアブラボウズという名前を知っているのは、室蘭水族館が水槽で育てることに成功したからである。
 ただ残念なのは、東京から余りにも遠い、鯨工場の広い跡地に、遊戯施設を併設した水族館の挑戦だった点。アブラボウズ君の集客力はそれほど威力を発揮しなかったのである。

 ただ、お客は少なくても、魚は大切に育てられた。
 僅か5cmの稚魚を捕獲したのが1969年のこと。それが、なんと、1.5m、40Kgにまで成長したのである。
 しかし、残念ながら、2005年4月、老衰で死去。享年、35歳。(3)
 ここまで生きれば、大往生だろう。

 アブラボウズ君逝去の結果なのかは定かではないが、室蘭水族館のウリはトドのショーや、手で触れながら観察できる磯である。(4)

 --- 参照 ---
(1) http://www.agri.pref.kanagawa.jp/suisoken/pdf/SUISHI/suishi7-04.pdf
(2) http://nh.kanagawa-museum.jp/minakan/sakana/s0509.html
(3) http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2005/200505/050503.htm
(4) http://www.city.muroran.hokkaido.jp/main/org6400/life116_suizokukan.html


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