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魚の話  2006年10月6日 +追記
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シーラカンスの話…

  サボるコツ シーラカンスに 聞いてみな    世の中には、進化したくない人もいそうだ

 Mr.Childrenのアルバム“深海”に「シーラカンス」(作詩:桜井和寿)という曲がある。その一節に、“僕は微かに左脳の片隅で君を待ってる”(1)とある。

 この歌詞の通り、皆が、微かに待って欲しいものである。
A Phylogeny of the Coelacanthini(2)
新生代 Latimeria
白亜紀 Macropoma
ジュラ紀 Undina
三畳紀 Scleracanthus
二畳紀 Coelacanthus
石炭紀 Rhabdoderma
デボン紀 Diplocercides

 生きた化石といわれるシーラカンスは、世界中から注目を浴びており、その名前を知らない人はいない。超人気ものと言ってよいだろう。
 しかし、その人気は軽薄そのもの。
 日本語サイトをチラと眺めただけだが、どう見ても、心底から興味を持っている人は極めて少なそうだ。そして、国内発信情報も極めて乏しい。

 興味を持ったら、海外のサイトを眺めるしかないようだ。
  → “De Noorderlicht-aflevering Levend Fossiel”への入り口>>>
       1999年のVideo [全25分:19分頃から生映像あり. 英語のサイトではないが音声は英語]


 ただ、日本のサイトも低調という訳ではない。
 研究が保護に繋がるとか、生息する地域でのCoelacanths エコツアー振興を図ろうといった、わかったような、わからない話はいろいろと飛び交っている。ただ、部外者には、どこまで本当か、さっぱりわからぬ。

 少なくとも、はっきりしているのは、シーラカンスの保護、研究にあたっている機関があること。the African Coelacanth Ecosystem Programme(3)である。
 この組織母体となっている機関の広報担当官によれば、“ シーラカンスは南アにとって、希望の象徴”(4)だそうである。

 意味がよくわからぬ発言だが、政治が深く係わっているということなのだろう。どうシーラカンスを利用するつもりかわからぬが、結果的にシーラカンスの根城を壊すことだけは避けて欲しいものである。

 と言っても、それはかなわぬ望みのようである。すでに、絶滅の危機に瀕しているようだ。

 Observer の記事が一番的確だと思う。
 “I suppose we should be grateful to these trawlers, because they have revealed this amazing and unique fish population. but we are concerned they could destroy these precious things. We want the government to limit their activity and to help fund a proper research programme so that we can learn more about the coelacanths and protect them.” [2006.1.8](5)

 残念だが、政府を動かすくらいでなんとかなるものではない。お金を出す人がいる限り、魚獲は進む。
 止めようがない。これが現実である。

 --- 参照 ---
(1) http://memory.honesta.net/discography/lyrics/al5-2.html
(2) 1941年論文(Fig. 10, pp13) http://digitallibrary.amnh.org/dspace/bitstream/2246/2246/1/N1110.pdf
(3) http://expo.yomiuri.co.jp/sekai/sekai_050427.htm
(4) http://www.acep.co.za/
(5) http://observer.guardian.co.uk/world/story/0,16937,1681745,00.html

【追記】 山口正士 先生から頂戴したコメントより [2006.12.26]
 “生きている化石、特に大型の海洋生物について、地史上の大絶滅から逃れてきた秘密は何だったか、・・・
 恐竜などの絶滅が隕石衝突と地球のコアの熱循環による大火山噴火による全地球的な気候変動の結果であるとすれば、大型の生物が一掃されたことは合点が行きますが、・・・シーラカンスなどがどうやって絶滅を逃れたのか、面白いテーマです。
 深海生物は元をただせば浅い海からの移住者でしょう。その環境は物理的に安定しています
(ただし、海洋水の垂直大循環が安定している限りです)。餌の供給は乏しくても低水温であるため代謝速度が遅いのでバランスシートは合っているのでしょう。
 何しろ深海の5ミリくらいの二枚貝の年齢を調べたら数百歳だったという世界です。
 カリブ海のユカタン半島にインパクトポイントがあったとして、隕石衝突の影響はその近くでより強く働き、遠隔地である(ただし、反対側のインド付近のポイントでは伝達された衝突のエネルギーが収束したらしい)アフリカやインドネシアなどの海では相対的に影響は弱かったのでしょう。大西洋の熱帯海洋生物は種の多様性が全体として太平洋とインド洋の熱帯域に比べて圧倒的に低いのです。造礁サンゴ類の種数は一桁違います。多くの生物グループで大西洋に欠けているものが相当あります。
 シーラカンス類の生息環境は極めて限定的ですが、インドネシアで最近まで発見されなかったように深海でひっそりと隠れて生きているので、有名な場所では刈り尽されるかも知れませんが、乱獲しようとしても限界があるでしょう。商品価値としても、食用にしても仕方がないし、マニアが欲しがっても飼育は難しいし、需要も限界点が明らかになると思います。
 つまり、シーラカンスよりも、私は日本のメダカ、ドジョ ウや鯰の方が心配です。 ”


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