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魚の話  2007年3月9日
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まとうだい の話…

  口を出し 凛々しき姿 的鯛  那須与一の的を思い出して詠みし

 体の真ん中に黒丸を持つ魚といえば、的鯛。
 街の魚屋さんには並ばなくても、格好に特徴があるので、結構知られている魚である。

 その外見から、余り美味しそうには思えないが、館山在住で漁業権を取得しているフリーライター岩本隼氏(1)が、「絶品、マトウダイ」[出窓社 1998年(2)]と絶賛している位だから、素晴らしい味なのかも知れぬ。

 白身魚だから、獲りたてなら、同じく肝で勝負のカワハギより美味しいだろうが、ムニエルや煮つけにしてしまえば、絶品と呼ぶほどでもなさそうな気がする。それに、身が少なさそうな体形という点も、魅力を減じる。・・・食べたこともないのに語るのは失礼かもしれないが。

 もっとも、フレンチの素材としては“Le filet de Saint-Pierre”といえば定番食材。だが、個人的には触手が伸びない。と言うのは、皮なしの生々しい食感で、ソースをじっくり味わう手の食事になりそうだから、どうも苦手である。日本型フレンチの皮のパリパリ感は大いに嬉しいのだが、そうなりそうにはない。
 イタリアン食材だと“Pesce di San Pietro”。こちらも人気らしい。

 ガリラヤ湖で漁をしていた聖ペテロの話にちなむ命名だというが、今、その湖に棲んでいる魚も“St. Peter's fish”と呼ばれているそうだ。多分、ティラピアではないかと思うが。

 それはともかく、的鯛を聖ペテロの魚とするのは、獲れなかったのに、突然獲れるという奇跡を思い出させるからではなかろうか。的鯛は、普段は底の方にいるが、獲って下さいとばかり、網にかかる深度まであがってきたりするからである。
  → Conrad Witz画: “The Miraculous Draught of Fishes” [1444年]

 それに、口の方も、広げると、丸呑み可能な形状になっていることがわかる。これなら銀貨が見つかってもおかしくない、
 しかも、緊張した時に、突如としてはっきりとした黒い斑点が浮かびあがる。
 これは、聖ペテロの指跡だ、となる。

 --- 参照 ---
(1) http://www.iwamoto-jun.com/
(2) http://www.demadosha.co.jp/catarogupage_201.html


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