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魚の話 2007年4月27日+追記 |
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すいじ貝 の話…赤瓦 軒から魔除けの 水字貝強烈な太陽の光 青い海 深緑の福木. サンゴ砂を敷いた白い道 ゴツゴツした石灰岩の灰色の石垣 赤瓦の屋根. そこには シーサーと水字貝. これこそ 沖縄の原風景. シーサーは沖縄特有の魔除け(“ムンヌキムン”)だが、今や本土でも、沖縄ファンが壺屋焼(1)を持ち帰って家に飾るようになった。もともとは、赤瓦屋根葺き職人が独自のシーサーを作って屋根に飾っていたのだろうが、今は民家もコンクリート建築となり、屋根にこだわらず、目立つ箇所に工芸品を設置する家が多いようだ。 沖縄の魔除けとしては、道路の石敢當もそこらじゅうで見かける。 この他、特別な貝を、軒からぶる下げたり、門柱の上に乗せる家も多いそうだ。ただ、こちらの方は、余り宣伝されていないが。 この魔除け貝は、「すいじがい」と呼ばれている。沖縄の人達には身近な貝である。そこらじゅうに棲んでいる訳ではないが、身は美味しいと語る人が多いから、珍しい貝ではなさそうだ。 → 名護市のシンポル → 宮古島市の市貝 沖縄には珍しく、方言の“ユーナチモーモー”ではなく、本土でも通じる“スイジガイ”で通用する。初めて聞くと、“炊事貝”と考えがちだが、“水字貝”だ。言うまでもなく、貝の形が、「水」の字に似ているということ。 現代人が解釈すれば、「水」だから、火除けの呪物とされてしまう。確かに、火事はすべてを灰燼に帰すから、火除けの“おまじない”でもあろうが、豚小屋にも下げるそうだから、疾病除けでもある。おそらく、もともとは、すべての魔除けだったろう。焼き物、シーサー登場以前は、この貝が家のお守りだったのは間違いあるまい。 などと考えたのは、奄美大島では、“ヒンジャンミャ”と呼ばれるが、水という漢字ではなく、山羊を上から見た形ということでついた名前だからだ。(2) そういえば、“モーモー”も、四足に2つの角を持つ牛のことだ。 水、山羊、牛の形と聞けば、“あ〜、あの貝か”とわかる筈。土産店に必ず並んでいる美しい貝殻だ。 この貝、幼貝には突起がなく、普通に見かける巻貝にすぎない。成長すると「水」の字になるという。不思議だ。 そんな所が、魔除け信仰に結びついたに違いない。 現在も、この貝は、災いを防ぐ素晴らしいご利益があるとされている。ドヤドヤと勝手に家の中に入り込んで他人の生活を覗く観光客からの被害を防ぐらしい。 もっとも、なかには、奇怪な貝と見る人もいる。 “6本の突起を大きく広げたおぞましい形の生き物”というのだ。「魂抜け」という恐ろしい貝の殺し方があるそうで、これを“目撃した人間は、貝の魂にのりうつられてしまう”という。・・・この話、もちろんホラー小説の内容。(3) 読んだことはないが、そんな気にさせられる、魔力を持つ貝なのかも知れぬ。 --- 参照 --- (1) http://www.tuboya.com/setumei.htm (2) http://133.13.160.25/rlang/amm/details.php?ID=AM11051 (3) 中山宥 氏の書評 「まさに夏向き! すっきりした味わいの、南の島ホラー 」 “伊島りすと「ジュリエット」角川書店(2001年)”[第8回日本ホラー小説大賞大賞受賞作品] http://www.spinnet.jp/hamihami/book/review/mystery0108_2.html ■■■ 追記 [山口正士先生からの2007月5月10日付コメントから] ■■■ 〜スイジガイは珍しい部類に属する貝〜 山口先生は生きているスイジガイを海で見つけたことはないそうです。 〜魔よけの起源についてのご指摘のまとめ〜 ・魔よけの起源は古い。 - 「水」という漢字が使われる以前から魔よけだった。 - 巴型の形態であり、弥生時代の巴型銅器のモデルになった可能性がある。 [出典: 三島格「貝をめぐる考古学」学生社 1977年] ・魔よけとして、口を外に向け、軒先などに吊るされている。 ・他の貝も魔よけとして使われる。 - 現在も、ホネガイが同様に使われることがある。 - シャコガイも魔よけとして使われてきた。 ・貝の口が魔物を威嚇すると考えられていたと思われる。 - シャコガイは対で門柱の上に口を外に向けて開いたような姿で固定する。 (シーサーに代替される。) 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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