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魚の話  2007年9月7日
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ちゃがら の話…


  猫が嗅ぐ 干した茶殻を 佃煮に
     高級なお茶なら飲んだ後の茶殻も食べられるのだが


 春に漁港で、ホンダワラが生えているような場所を覗いて見ると、オレンジ色で体が透けているメダカのような魚が群れていることがある。これ、チャガラの子供だそうだ。

 秋の終わりには10cm近くまで成長するらしい。そして、一番寒い時期に産卵し、死んでいく一生らしい。

 育て易い暖かい時期を外すのは、同じハゼ科の魚と繁殖時期を違えることで、競合を避けているのだろう。それに、普通のハゼは底にいるが、こちらは浅いところで泳いでいる。
 競争を嫌がるタイプだから、水槽に入れても他の魚と余りケンカはしないかも知れない。

 ところで、10cmにもなる魚だし、海中を泳ぐ姿が上から見えるのだから、獲って食べようと考える人がいそうなものだが、そんな話をさっぱり聞かない。鯊なのに、天麩羅とか唐揚で食べることもしない。
 恐ろしく、関心を引かない魚のようだ。

 もしかすると、干して鶏の餌にしていた位だから、(2)人が食べる魚ではないと見なされているのかも知れぬ。
 この魚、水槽で泳いでいる姿はオレンジ系の色なのだが、釣り上げると途端にその色がどんよりと変わってくる。浜で乾燥させれば、確かに「茶殻」のようになりそうだ。
 だからといって、それがこの魚の名前の由来だという説はにわかには信じがたい。お茶の残渣は肥料に向いていないからだ。
 普通に考えれば、干したところで出汁にもならないから、お茶殻同様、何時捨ててもかまわない魚ということだろう。
 昔は、藻場などそこらじゅうにあり、大量に群れる小魚だから、簡単に獲れた筈。ただ、他の美味しい魚が多かったから、せっかくとっても捨てられることが多かったということではなかろうか。

 ただし、食材としての情報がほとんど無いからといって、人気ゼロという訳ではない。ハゼマニアにとっては、是非とも飼いたい観賞魚の部類に入るからだ。この魚、色が美しいから、見ているだけでも嬉しくなるのは当然かもしれぬ。

 --- 参照 ---
(1) http://homepage2.nifty.com/PhD-mukai/Laboratory/Pterogobius/Pterogobius.html
(2) http://www.ugokuhazenozukan.com/sarch/index_p4.html


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