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魚の話  2007年10月5日
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ほうぼう の話…

  ほうぼう一ぴきの顔と向きあひてまとも  中塚一碧楼  句碑レポート>>>
    “う〜〜ん、自由律俳句とは難しいなぁ.”・・・同感. 正岡子規→河東碧梧桐→中塚一碧楼という系譜はわかりやすいが.


 水族館で、先生が大勢の子供達に、「海の底をほうぼう動き回るから、ホウボウと名前がついた。」と説明しているのを、横から耳にしたことがある。
 子供の関心をひきつけるには、秀逸な説明だと思う。この魚、顔は大きいし、全身赤色で目立つ。こんな話まで聞かされれば、確実に名前を覚えたと思う。
 実に、水族館向きの魚だ。
 だが、残念なことに、水族館の水槽が小さ過ぎるのか、底でじっとしている姿しか見たことがない。もっとも、一日中這い回っていることなど有り得ないから、当然かも知れぬが。
 ホウボウファンとしては、泳ぐ姿も見てみたいものだ。絵や写真を見ると、鰭は結構広がるから、普通の魚と違う泳ぎをしている筈だ。

 ただ、水族館の定番とは言っても、魚屋によく並んでいる魚である。流石に、大型は高値だが、小ぶりなら、結構廉価なことが多い。但し、お値段は結構変わるから、入荷は安定していないようだ。
 刺身用と表記されることもあるが、刺身にすれば、ほとんどの部分は捨ててしまうことになる。寿司屋ならそれで結構なのかも知れぬが、家庭用としては、余りにコストパフォーマンスが悪すぎる。
 それなら、から揚げと言うことになるが、他の白身魚も十分美味しいのに、わざわざホウボウを使う必要もなさそうだ。
 と言うことで、この魚が本領を発揮できるのは、やはりブイヤベースだろう。

 そこで、廉価で、腹が真っ白で張りがあったら、少々小ぶりでも、素人風鍋料理で行こうということになる。と言うより、白ワインを飲みたいからだろう、との見方もあるが。
 ともかく嬉しいのは、鍋料理は、たいした手間がかからないこと。そして、お酒が旨い。
 
他の海産物としては、輸入海老解凍もの、烏賊、蛤か浅利を少しだけ購入すれば十分。なかには、蟹も欲しいという人もいるだろうが、そんな意見は無視してもよい。あくまでも、メインはホウボウ。あとは、何時でも売っている定番商品を選ぶのが経済的で外れが無い。
野菜は、玉葱と大蒜さえあればOK。トマトは熟した生が嬉しいが、安価な水煮缶詰でも十分美味しい。調味料はブイヨンの素、塩、胡椒。この他には、オリーブ油と白ワイン。これらは常時置いてある家も多いから、海産物さえ購入すればすべて揃うことになる。
料理の要は、をみじん切りした玉葱と大蒜を弱火でしっかり炒める手間を惜しまないこと。 これに海老を入れ、白ワインで煮込み、少したったら、残りの食材とつぶしたトマトを加え、適量の水で煮るだけ。 そして、ブイヨンの素を溶かし、塩と胡椒で味を整えれば完成。塩は、それなりのものを使えば、味が格段に向上するのは言うまでもない。

 もっとも、最近は、イタリアンのアクアパッツァに人気があり、南仏鍋も下火のようだ。フランスワインより、イタリアンワインが好きとの理由ではなく、お洒落感かららしい。
 従って、ブイヤベースの残ったスープにご飯を入れて楽しむような、リゾット風おじやなど、もってのほか。豆腐と葱だけを入れた和風ほうぼう鍋など見向きもされないようだ。
 ここまで、アクアパッツァ人気が高まれば、オーストラリア産冷凍ホウボウの輸入業は大繁盛だろうネ、などと言うと、お洒落感から程遠い人種として、見放されるかも知れないから注意した方がよさそうだ。

 そんな感覚から程遠い人でも、喜んで受け入れてくれるのが釣り人の世界。ここでは、単純なブツ切り煮付けの人気が保たれているようだ。この煮付けで、注意することといえば、生姜を入れることと、たっぷりの水を入れること位。
 ただ、これは、あくまでも、ホウボウ釣り(1)でない時の話。要するに、ホウボウは外道。料理のメインは、ホウボウ以外の魚である。

 当然ながら、ホウボウの煮付けは残ってしまう。実は、それはそれで大歓迎なのだ。狙いは、翌日。
 冷蔵庫から出した煮凝りで一杯。
 これが、絶品。

 --- 参照 ---
(1) 「ホウボウの仕掛け」 http://www006.upp.so-net.ne.jp/shouseimaru/hobo.htm


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