トップ頁へ>>>
魚の話  2007年11月22日
「魚」の目次へ>>>
 


いとよりだい の話…

  糸撚りや 絡みを直す 手を抜かず 釣果の多さに ほくそ笑む君

 イトヨリダイは美しい魚だ。それに、上品な味だから、料理にでてくると嬉しいものだ。
 なんでも、徳川第11代将軍の家斉は、小田原から江戸城まで送らせ、一尾の焼き魚が炭100表だったという話があるそうだ。(1)
 わかる気がする。
 現代は、中流階級の場合、人の方が、魚を食べに江戸から伊豆にでかけていく訳だから。

 最近は、真鯛は養殖モノが多く、伊豆では沼津産をよく見かける。安価なのはよいのだが、どうも身の締りが今一歩な感じだ。鯛の体型の魚を選ぶなら、身が柔らかくても美味しい、天然糸撚鯛の方がお勧めである。いつも入手できるとは限らないのが玉に瑕だが。

 そんなこともあって、親類が家族で遊びに来たので、家内が力をふるって、メインディッシュに糸撚鯛のポアレを出した。ところが、これが子供達に絶不評。
 と言うか、骨がある魚は面倒なので食べる気がしないらしい。
 最近の子供はそんなものなのだろうか。

 もっとも、そのお陰で、小生は美味しい料理を思う存分堪能できたから、これはこれで大喜び。久しぶりのシャンパンがすすんでしまい、ご機嫌な一日だった。

 それでは子供は何が嬉しかったかというと、これが、なんと朝獲り豆鯵。家内が作った特製干物を、軽く焼いて供しただけだが、大好評だった。干物とは、こんなに美味しいのかと感激したらしい。頭から、尾鰭まで、そのまま食べれる点がえらくうけたようだ。

 重さ当たりの価格で比較したことはないが、豆鯵との糸撚鯛一尾当たりの価格は、2桁違う。そんな魚を悦んでもらえるのだから、有難い限りではあるが。魚食文化が消えていく感じがして、寂しい感じがした。

 そういえば、この魚、世界に誇る「カニカマ」の原料と聞いたことがある。
 と言うことは、えらく安価な魚の筈だが、魚屋さんで見る限りそんな魚ではない。どうなっているのだろう。
 タイ辺りからすり身になって輸入されてくるらしいが(2)、“Pla sai daeng”は日本のイトヨリとは一寸違うのだろうか。(3)

 --- 参照 ---
(1) 旬の食材図鑑 旬の食材図鑑 http://www.shunmaga.jp/zukan/gyokairui/itoyori/itoyori.htm
(2) 通関分類 0304.90 1. いとより(すり身のものに限る。)http://www.customs.go.jp/bunruireikisyu/data/03rd.pdf
(3) http://www.fishbase.org/Summary/SpeciesSummary.php?id=5855
(イトヨリダイのイラスト) (C) 猫と釣り人 [愛媛のturibito] http://turibito.yu-nagi.com/


 「魚」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2007 RandDManagement.com