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魚の話  2007年12月28日
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ちょうざめ の話…


 蝶鮫の 不意にもよぎる まぼろしを 消しがたくゐて 鶺鴒あそぶ   小林孝虎

     「神居古潭幻想賦」 (旭川市 神居古潭 旧駅舎前の岩壁)


 チョウザメは世界最大の淡水魚。成長したBelugaの雌は長さ3m、体重230kgに達するそうだ。そんな大きいものは、75歳だという。(1)

 キャビアをとるのはBelugaだけでない。もう少し小ぶりのOscietreやSevrugaも人気がある。(2)

 蓋の色でいえば、青、黄、赤だが、そのうち過去のものになるだろう。
 育つのに時間がかかるから、カスピ海ではもう絶滅寸前と考えて間違いなさそうだ。(3)
 と言っても、ロシアやイランは外貨稼ぎにまだとっているし、密漁も続いているそうだ。(4)ロシア大統領自ら、養殖していると宣伝してはいるが。(5)

 カスピ海だけ棲むという種でもないようだが、寒いところでないと駄目なようだ。
 日本でも、石狩市新町の金龍寺や石狩弁天社にアイヌ伝承の「鮫様」が祀られているから、昔は石狩川にも棲んでいたようである。(6)

 米国では、キャビアが食べられないとなれば、類似の魚卵でかまわぬとなろうが、そうはいかないのがフランスだ。フォアグラ、トリフ、キャビアが無くなったら生きる意味がなくなると言いかねない。
 どうしているか見てみると、流石、準備周到。すでに養殖品が提供できる体制を敷いている。(7)

 そういえば、ボルドーワインだけでなく、キャビアもお土産にという話を聞いたことがある。「BAERI」である。フランス産は黒蓋なのだろうか。(8)

 しかし、熱心なのはフランスだけではない。
 日本も様々なところで挑戦が進んでいる。(9)
 ただ、天然よりは育成が早い種だとはいえ、卵を持つまで8年程かかる。資本が寝てしまうから、収益的には大変なビジネスだ。
 それでも、頑張っている人は少なくないのである。(10)
  → [写真] 「蝶鮫 飼育記録」 (C) FujikinSoft
  → [Real Video] 「チョウザメムービー」 (C) 新見漁業協同組合

 もっとも、キャビアだけを狙っている訳でもないらしい。
 なにせ、魚のすべてを知っていそうな故末広恭雄氏がステーキは絶品と語ったというから、垂涎もの。(11)

 --- 参照 ---
(1) 巨大動物図鑑「ベルーガ」
   http://big_game.at.infoseek.co.jp/catfish/sturgeon.html
(2) http://www.christopheonline.ch/lacharrue/gastronomie/caviar.html
(3) C. J. CHIVERS: “Ban Is Extended on Caspian Sea Caviar Exports” NewYorkTimes [2006.4.13]
   http://www.nytimes.com/2006/04/13/world/europe/13sturgeon.html?n=Top%2FNews%2FWorld%2FCountries%20and%20Territories%2F
   Azerbaijan
(4) “Russia seeks caviar monopoly” ScienceDaily [2007.8.31]
   http://www.sciencedaily.com/upi/index.php?feed=Business&article=UPI-1-20070831-15330600-bc-russia-caviar.xml
(5) “Fish lips: Putin kisses sturgeon” AFP [2007.8.31]
   http://afp.google.com/article/ALeqM5jRynByrfHd8zegjHuaJ28ZdxqVkA
(6) 佐々木典寛: 「石狩 鮫様伝説」読売新聞online [2004.8.4]
   http://hokkaido.yomiuri.co.jp/youyomi/tabi/t_040804.htm
(7) “Le Caviar d'Aquitaine a la fete” TV France2
   http://cultureetloisirs.france2.fr/cuisine-recettes/actu/26638022-fr.php
(8) フランス養殖キャビア業者例
   Sturgeon (Kaviar) http://www.kaviar.com/activite1.htm
   Le Moulin de la Cassadote http://www.caviardegironde.com/
(9) 日本ちょうざめ研究会: 「キャビアにロマンを求めた人々」 丸善プラネット 2002年
(10) 東北まち紀行「キャビアを釜石のブランドとして発信したい」(釜石市水産課長 岡崎貞夫さん)
   http://www.thr.mlit.go.jp/bumon/b00097/k00360/t-com_vol40_HP/03/03.html
(11) 末広陽子: 「私はチョウザメが食べたかった。」 河出書房新社 2003年 【日本図書館協会選定図書】
(歌碑の引用元) http://www5a.biglobe.ne.jp/~dartan/htp8/dohoku1.htm
(蝶のイラスト) (C) 素材屋じゅん http://park18.wakwak.com/~osyare/index.html
(白地図) (C) アビス http://www.abysse.co.jp/world/index.html


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