トップ頁へ>>>
魚の話  2008年2月1日
「魚」の目次へ>>>
 


いがい の話…


  ムール貝 殻が邪魔でも 食べ続け
          山盛り食べたくなるのは ベルギービールをもっと呑み続けたいだけの話かも

 ずいぶん昔の話だが、男鹿半島で漁師の方に連れられて、磯潜ぐりして貝採りをしたことがある。対象はサザエと“似たり貝”ことイガイ。
 岩に付着していたり、岩の窪みに入り込んでいるから、外すのが結構大変な作業だった覚えがある。
 その場で、収穫の一部を、焼いたり、海水で煮て味噌を入れただけの料理をご馳走になったが、驚くほど美味しかった覚えがある。特に、イガイは、それこそエキスの塊のような身だった。
 イガイは美味しいが、昔は当たることも多かったそうで、余り食べなかったとか。それに、余りに濃い旨みだから、他の食材とのバランスが悪く、敬遠されていたのかも知れない。
 しかし、“ムール貝”がお洒落な食材になったから、おそらく、獲りつくされているに違いない。今や、こんな磯遊びが、とてつもない贅沢になってしまったのである。

 “ムール貝”と言えば、“Moules au vin blanc”だが、どういう訳か、“浅蜊の酒蒸し”のコンセプトとほとんど同じだ。
 セロリかパセリの葉を散らすが、浅蜊の場合は、青紫蘇の葉を使う。こんな細かなところまで似ているから、不思議な感じがする。
 もしかすると、“浅蜊の酒蒸し”は、ベルギーの隣国の人達が、故国の“Mosselen in de witte wijn”を想い、長崎の出島で食べていたのかも知れない。

 なお、“moule”は、大型在来種のイガイではないそうだ。 少々小粒の欧州からの外来種、ムラサキイガイ。よく似ている。
 この貝、世界制覇を狙っているそうで、日本でも着々と地歩を築いているらしい。(1)

 どこが強さの秘訣かといえば、蛋白質の足糸を出して付着することができて、場所が気に入らないと、この糸を自分で切って移動できる点にあるようだ。
 特に、ぬくぬくとした環境の牡蠣養殖場を見つけると、喜んで侵入してくるらしい。これではたまったものではなかろう。
 そんなこともあり、一時は、ムラサキイガイだらけの岩をあちこちで見かけたものだが、最近はコウロエンカワヒバリガイにその座を奪われてしまったようである。
 こちらは、オセアニア出身らしい。

 品川の“京浜運河に降り立つや、ザクザクと長靴を鳴らすほどに密生して”(2)いるという。こちらも、イガイの仲間だが、残念なことに食用にはならないそうだ。

 --- 参照 ---
(1) 国際海洋科学技術協会: 「ムラサキイガイに関する海洋環境研究 調査研究報告書」 (日本財団助成事業) [2003年]
  http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/01204/mokuji.htm
(2) ぼうずコンニャクの市場魚介貝類図鑑 ムラサキイガイ
   http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/igai/kouroen.html
(参考文献) 梶原武,奥谷喬司(日本付着生物学会編): 「黒装束の侵入者―外来付着性二枚貝の最新学」 恒星社厚生閣 [2001年]
  -- 付着性イガイ類のシンポジウム成果
(貝のアイコン) (C) S.S.S. Superman 史上最強の潮干狩り超人 http://mirabeau.cool.ne.jp/shiohigari/index.html


 「魚」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2008 RandDManagement.com