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魚の話  2008年3月7日 + 追記
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なまず の話…


  水槽を 眺め続ける 鯰顔

 “「なまずかな?」と思ったら それは なまずだと思ってかまいません。分類に関しても何となく似ていれば同種です。”(1)とのこと。
 アクアショップの棚を見ると、Catfish向けの餌が並んでいるところを見ると、鯰の飼育者は少なくないようだ。(2)

 と言っても、対象はナマズ属コリドラス属の熱帯魚(3)らしい。
 温和な性格ということで、あくまでも脇役として水槽に入れられるようだが、底でおとなしくしていて、結構長生きするので、名前をつけて可愛がる人が多いようだ。

 日本のなまずも、人になつくようで、飼い始めると情が移るようだ。(4)ただ問題は、夜になると相当暴れること。
 水族館で見ると、いかにも鈍そうな感じがするが、日中はウトウトしているのだから当然だろう。
 もっとも、こちらは性格温和とは言いがたい。“かなりどん欲で、大きな口で獲物にかぶりつく”(5)そうだ。
 元気旺盛なのは結構な話だが、稚魚期は共食いとなるので養殖が難しいと言われている。まあ、鯰君は食物連鎖の最後だろうから、そうそう数多く生き残れる訳がないから、自然の摂理だとは思うが。

 しかし、逆に、それだからこそ名物にできるということで、地域おこしのタネとして養殖に取り組んでいるところもある。(6)相当に苦労されたに違いなかろうが、共食いが発生しにくい広い面積で飼ったということでもあろう。
 その結果、埼玉県吉川市は“なまずの里”と称するまでになった訳である。(7)

 と言っても、米国のようにナマズ産業(8)が成り立つほどの繁栄は実現できないようだ。
 つい、こんなビジネスのことに関心をもってしまうのは、現代だからか。それとも、・・・

 ナマズ食わずで仕事をしてますと鯰研究者が語ったそうだが、そんな話が言えるだけの心の余裕を持ち続けたいものである。
 鯰をネタに知的遊戯を楽しんだ、足利義持や禅僧達のような境地を目指すのは無理だとしても。
  → 如拙筆「瓢鮎図」 (C) 京都博物館 [解題の別頁あり]

 --- 参照 ---
(1) 「なまず研究所」“なまずとは”
  http://www3.plala.or.jp/catfish/lecture.html
(2) キョーリン社 ひかりクレストキャット http://www.kyorin-net.co.jp/tropical/tr09.html
(3) 小林圭介: 「コリドラス大図鑑」エムピージェー/マリン企画 [2005年]
  江島勝康: 「世界のナマズ」 マリン企画 [1999年]
(4) blog静岡県淡水生物館 なまず飼育 [2005.9(1.5cm)〜2007.21(25cm以上)]
  http://blog.livedoor.jp/kitsune_chan21/archives/cat_10036595.html
  http://blog.livedoor.jp/kitsune_chan21/archives/cat_10031713.html
(5) 群馬県庁 「ぐんまの魚」 ナマズ
  http://www.pref.gunma.jp/cts/PortalServlet;jsessionid=FB8B4837580563524E977D8E7645BCAE?
  DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=5506
(6) 埼玉県農林部農林総合研究センター水産研究所 “全国に先駆けてナマズ養殖の実用化”
  http://www.pref.saitama.lg.jp/A06/BQ24/yousyoku/namazuyousyoku/namazu.htm
(7) 吉川市商工会 なまずのページ“吉川となまず”
  http://www.namazu.or.jp/namaz.html#namaz_yoshikawa
(8) U.S. Farm-Raised Catfish Processors  http://catfishinstitute.com/?q=official_u.s._farm-raised_catfish_processors.html
(コリドラス類 のイラスト) (C) ぼくのすいぞくかん http://www.linkclub.or.jp/~tarot/index.html


追記 2008年3月10日 〜
【山口正士 先生から教えて頂いた情報を追加しました。】
●ナマズの産卵シーンの動画
 → 「オスのナマズが、大きなメスに巻き付いている状況」
撮影: 滋賀県長浜市益田(2007年5月26日)
     (C) NPO旅するおさかなサポーター “TABIUO”
     〜この組織の活動目的は以下のように記載されています。〜
     ・田んぼで魚が産卵できるようにする
     ・田んぼで魚が産卵するための、研究調査をする
     ・それらの取り組みを、環境学習として子供たちに伝える
●公式にナマズが絶滅危惧種とされている都道府県例
  ・富山、埼玉、東京、宮崎(準絶滅危惧)
  ・神奈川、滋賀、鹿児島など・・・注目(要注意)
●参考文献 滋賀県立琵琶湖博物館編: 「鯰-魚と文化の多様性」サンライズ出版 2003年
●ナマズ食文化参考書 Stan Warren: “The World Best Catfish Cookbook” Stoeger Pub. Co. (2003)


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