トップ頁へ>>>
魚の話  2008年4月25日
「魚」の目次へ>>>
 


はこふぐ の話…




 夢失せて プール彷徨う はぐれフグ

 海雀といえば絶滅危惧種の海鳥の名前。教科書で習うからか、小学生がよく知っているそうだ。
 ビジネスマンには忘却のかなただが、北原白秋の詩、“海雀、海雀 銀の点点、海雀・・・”(1)を題材に、その情景を考える授業を受けるらしい。

 しかし、釣り人にとっては、海雀といえば、箱河豚のことである。
 頭に角があり、背にも小さな突起がある河豚といえば、ご存知の方も少なくなかろう。
 ともかく、箱河豚は釣れたとたんに名前がわかる稀有な魚。これ以外の名前をつけようがなかろうという感じがする。
 聞くと、どうも、角付きと角無しが半々釣れるといったところのようだ。どちらも、それほど歓迎されないのは言うまでもないが。

 この魚、河豚ではあるが、毒は体の表面から出すと言われている。そのため、身は大丈夫ということで、食べる人がいるようだ。しかし、肝臓は猛毒ということが見逃されているらしい。五島の漁師が毒に当たる位だから、甘く見ない方がよい。(2)
 海雀は、本来、市場に出してはいけない魚ということ。

 そんな魚だが、女性に大人気だという。もちろん、水族館での話。ただし、そこいらで釣れる箱河豚ではなく、黄色で角が出ているタイプ。英語名だとlonghorn cowfish。日本名は金剛河豚だが、これではどうもしっくりこない。と言って、牛角にする訳にもいかないか。

 見に行くと、水面近くで、小さな鰭をひっきり無しに動かしていたりする。時にはもぐったりもする。ただ、とんでもなくのろま。オイ、しっかりしろと、思わず指でつつきたくなる。
 およそ、これほど下手くそな泳ぎをする魚はいまい。
 そのため、「私も頑張ろう」という気にさせられるらしい。(3)まあ、癒し系ということなのだろう。

 おそらく、縄張りを見回っているのだろうが、それにしては緊張感が全く感じられない。とぼけた目つきだからだ。お蔭で、見飽きない。
 この愛嬌ある顔は、そういえば、どこかで見かけたと、見物人の忍び笑が聞こえてきそうだ。

 --- 参照 ---
(1) http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/guest/poem/kitaharahakusyu02.html
(2) http://www.pref.nagasaki.jp/koho/hodo/upfile/20070829173502.pdf
(3) みうらっちのおさかなコラム No.24 コンゴウフグ [2006.7.1]
  http://www.princehotels.co.jp/shinagawa/aquastadium/aqua/column/20060701.php
(コンゴウフグの写真) [Wikipedia] photo by Martin Olsson Lactoria cornuta aka longhorn cowfish in cph aquarium 2007.jpg
  http://en.wikipedia.org/wiki/Image:Lactoria_cornuta_aka_longhorn_cowfish_in_cph_aquarium_2007.jpg


 「魚」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2008 RandDManagement.com