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魚の話 2008年6月20日 |
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あみ の話…たて初むる あみとる浦の 初さをは つみの中にも すぐれたるかな 西行「山家集」 備前・小島でのアミ漁。 竿を立てて豊漁を祈る高齢の漁師を見て涙。 随分と罪深きことをするものと感じ入った訳か。 アミは、醤蝦と書くのだそうだ。魚醤の原料になるような蝦ということだろうか。 首都圏の釣り人の思い込みから言えば、アミと言えば、コマセアミ。魚だけでなく、ヒトも食べるが。 もっとも最近のコマセ用のブロック冷凍モノは、ほとんどが南極オキアミだそうである。正確には、アミ類ではなく、オキアミ類なのだとか。 言うまでもないが、鯨君の食料である。(1)一方、北洋では、角無(ツノナシ)オキアミ(2)が餌になるようだ。 ただ、コマセがオキアミだということは、表向きは知らないことにしている人は少なくない。 と言うのは、この話を聞いて、本物のコマセを使わないから釣れなかったと、後から餌のせいにできるからだ。まあ、コマセの臭いで鯵が寄ってくるのは本当だから、一理ある発言ではある。しかし、釣果はだいたいは腕で決まるもの。 一方、佃煮用としては、アミ類のイサザアミが多く使われているそうだ。(3) アミの佃煮や塩辛を食べる機会はそう多くはないが、アミ自体には親近感がある。と言うのは、釜揚げシラスが好きだから。 昔は、このなかに、色々な生物が混ざっていて、実に面白かったものである。 探せば、必ず、イカやタコの赤ちゃんがいた。時々だが、鯖らしき稚魚が入っていることも。そして、なかでも、多かったのがアミ類だ。沢山いると、嬉しかったものだ。 それが、最近はとんとみかけぬ。スーパーのバイヤーが、混ざりモノを減らすように圧力をかけていなければよいが。もっとも、そんなことを言われてできるものかはよくわからない。 ところで、冒頭の西行の歌のシーンは岡山の児島湾だが、干拓されてしまい、現在の産地は牛窓だという。しかし、備前の人々のアミ好き体質は受け継がれているそうだ。 “アミと聞いて、まず思い浮かべるのはアミ大根。岡山で育った人ならば、一度は口にしたことがある”(4)のだと。 ただ、このアミは、アミ類ではなく、サクラエビ科のアキアミ。干しあみや、塩辛の主流はこちらのようだ。 --- 参照 --- (1) 「海の万能エサ・オキアミ」 魚と遊ぼ!海釣り道場 http://www.otomiya.com/fishing/tips/16-okiami.html (2) ぼうずコンニャクの 市場魚貝類図鑑 ツノナシオキアミ http://www.zukan-bouz.com/koukakurui/ami/isada.html (3) 食品の豆知識「生鮮食品・加工食品」編 “アミ” http://www.w2-1f.com/syokuhin/ami.html (4) 岡山のアミ 岡山県立図書館メディア工房 http://djv.libnet.pref.okayama.jp/mmhp/kyodo/kenmin/2006koza/okayamanoami/ami-index.htm (5) 「源平盛衰記」巻第三十七 平家開城戸口並源平侍合戦事 http://etext.lib.virginia.edu/japanese/texts/AnoGpjs/f-horizontal37-2.html (和歌の出典) digital 西行庵 山家集 0874(縦書きテクスト) http://www.saigyo.org/cgi-bin/cr2.cgi?sanka_sintei-txt (アミ目の写真) [Wikipedia] Photo by Uwe Kils Mysis2kils.jpg http://en.wikipedia.org/wiki/Image:Mysis2kils.jpg 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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