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魚の話  2008年10月10日
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いすずみの話…


  釣り帰り 磯の臭いが 漂いて

    イスズミ君に磯の香りをつけてもらった釣り人も少なくないようだ。


 イスズミは、“関西では発音が変化してイズスミとなります。グレ釣りの外道で食味はダメですが、強力な引きで釣り人を困らせてくれます”(1)とのこと。紳士的に書いてあるが、皆、コヤツに餌を盗られるので、憎々しく思っているに違いないのである。かわす技はないらしいのだ。
 部外者からすれば、折角の大型モノだから、持って帰ればよさそうに思うが、皆、捨てて帰る。もちろん、帰っても、釣れたことは秘密。
 折角、出かけたのに、釣果が不味い魚だけというのはプライドが許さないようだ。

 それはそれとして、イズスミという名前もあるのを知った。

 そういうことだったか。
 訳のわからぬ「伊寿墨」という漢字名がついており、腑に落ちなかったのが、ス〜と解決した。もともとの名称は「磯棲み」だったということだろう。東京だと「伊豆棲み」とか「八丈棲み」でもよかったかも。

 まあ、どうでもよい話だが、ともかく注目されない魚である。 磯臭くて、とても食べられたものではないと言われているからだ。
 嫌われる理由は、それだけではないようだ。知らなかったが、釣り上げると大いに暴れるそうだ。これだけなら、当たり前となるが、ついでに、とてつもなく臭い糞をそこらじゅうに撒きちらすという。とんでもない奴である。
 実戦録を読むと、本当に、手に負えない輩らしい。(2)こうなると、外道どころの話ではなかろう。すぐ捨てて当然。
 皆、話題にしないのは、糞をかけられ酷い目にあったことを思い出したくないからかも。

 何故、そこまで臭いのかはよくわからないが、ウエブには、この魚、ハバノリを好むという記述が多い。残念ながら、誰がどうやって調べただろうか。

 と見ていたら、ハバノリを餌にした釣りの話に出くわした。南紀 すさみ町の話。ここでは、イスズミを正月に食べる習慣があるそうだ。(3)
 驚いて調べたら、南紀では、“冬場になると一昔前は一匹が壱万円以上の高級魚、宴会で珍重されるが、夏場は大きい個体でも一匹が百円”(4)という代物だそうである。冬だから、多分、水炊きが主流だろう。
 確かに、海藻食の魚なら、耐えられない臭気が発生するとは思えない。おそらく夏は別なものも食べて、その組み合わせが悪さの根源ではないか。

 この海藻、干したものを軽く焙れば、磯の香りを堪能できるので、一部では結構人気商品なのである。もし、この海藻臭さだけが凝縮されるなら、漁師が上モノとして扱ってもおかしくない気はする。
 ただ、生のハバノリは、岩海苔やアオサとは違い、とても食べられたものではないと思うが。

 そういえば、伊豆辺りのハバノリの最近の値段は、珍味に匹敵するようなお値段だ。養殖モノではナイゾと言うところを見ると、天然ものは希少価値の領域に入ってきたのかも。
 イスズミ君、大丈夫だろうか。

 --- 参照 ---
(1) http://www.otomiya.com/sozai/sakana/iso.html
(2) 伊寿墨「磯のピラニア」 釣り曜日 小西英人の遊魚漫筆
  http://tsuriyoubi.jp/essay/0044/index.html
(3) Blog すさみ町商工会 2008-01-02/03
  http://ameblo.jp/shokokai-susami/archive-1-200801.html
(4) 梅本信也・岩谷知明: 「紀伊大島里海料理目録」
  http://www.fserc.kais.kyoto-u.ac.jp/oshima/inspection/pdf/6.pdf
(イスズミのイラスト) (C)OTOMIYA.COM 「海の素材集」 http://www.otomiya.com/sozai/index.html


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