トップ頁へ>>>
魚の話  2008年10月17日
「魚」の目次へ>>>
 


あゆかけの話…


 カミキリの 獲物見る目の 真剣さ

 魚をカマキリと名付けた人の観察力には恐れ入る。
  虫の場合、身じろぎもせず、じっと立っていることがよくある。
 一度のチャンスに全神経を集中しているのである。


 淡水魚はメジャーな種はよく知られているが、マイナーになると、メディアで騒がれたことがある絶滅危惧種系以外は、一般の人にはほとんど知られていない。
 日本固有の淡水魚より、海外の珍しい魚の方に人気があるようだ。
 行ったことはないが、世界最大級の淡水魚水族館「アクア・トト ぎふ」にしても、“木曽川・長良川の源流から河口までと世界の淡水魚”(1)が見れるとされていても、入館者は後者がお目当てな人が多そうだ。

 例えば、川に棲むハゼの仲間に「アユカケ(鮎掛)」という名前の魚がいる。頭でっかちで、口が大きく、黒くて太い横縞があったりして、実にユニークな姿である。いかにも泳ぎが苦手といった風情で静かにしているタイプ。
 面白い魚だと思うが、人気の方はさっぱりのようだ。

 “石のようにじっとして、アユやヨシノボリなどの小魚を待ちぶせて”(2)いるのである。ボケーとしてやってくる鮎をひっかけようと、底で我慢に我慢を重ねている訳で、実に辛抱強い魚だ。
 ちなみに、カマキリとも呼んぶそうだ。えらく紛らわしいが。その所以は、えらぶたの4つの棘にが鎌のように切れるからなのだとか(3)

 これだけの情報でも想像がつくと思うが、この魚、川から消えつつある。
 ということで、“福井県では天然記念物に指定され、保護増殖が行われています”(3)とか。データを見ても、ほとんどの川から消えてしまったようである。(4)。海で産卵するそうだから、泳ぎが下手そうだし、絶滅は時間の問題との印象が強い。

 生息地で一番有名な九頭竜川中流域では、1970年代の漁獲量は千匹を超えていたらしい。その昔は万匹だったかも。卵を抱えた白い腹で小川をのんびり泳いでいたのではないか。
 これが、2001年頃には20〜40匹だ。ナホトカ号の原油流出があった割りには上出来と言えるかも。

 まあ、種の保護と言えば聞こえがよいが、上志比村の温泉施設で養殖して、名物にすべく努力したようだ。しかし、一匹5,000円もするから、軌道には乗らなかったらしい。(5)まあ、1万円はしそうな“アラレガコのコース料理”を九頭竜川まで食べに行く人は少なかったということだろう。
 と言うことで、現在は、教育的な視点での保護活動に力が入っているようだ。(6)
 まあ、その辺りに留めておくしか手はあるまい。

 --- 参照 ---
(1) アクア・トト ぎふ  http://aquatotto.com/about/about/index.html
(2) 「カマキリ(アユカケ)」  http://aquatotto.com/freshwater/dictionary/detail.php?id=236&PHPSESSID=21444e8b37929d328501481b6628933d
(3) 「カマキリ(アユカケ)」 神奈川県水産技術センター内水面試験場 淡水魚図鑑
  http://www.agri.pref.kanagawa.jp/suisoken/naisui/fishfile/kamakiri.htm
(4) [分布図]カマキリ 「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」 福井県 1999年
   http://www.erc.pref.fukui.jp/gbank/fr_fish/map/map95.gif
(5) 「アラレガコ消えた 漁解禁したが…台風で増水、下流へ? “伝統”危機、養殖模索も」 福井新聞「ふくい万華鏡」 [2004.12.12]
   http://www.fukuishimbun.co.jp/mangekyou/top2.htm
(6) 福井県内水面総合センター http://asovino.net/page/navi/miru115.html
(史跡名勝天然記念物: アラレガコ生息地) 九頭竜川(大野市〜福井市) 1935年
  「古來あられがこ棲産ヲ以テ知ラルあられがこハ かじか屬ノ魚ニシテ大ナルハ体長三〇〇ミリメートルニ逹ス
   晩秋ヨリ初冬ニ亘リ河ヲ降リ河口附近ニテ蕃殖ス」
  http://www.bunka.go.jp/bsys/maindetails.asp
(カマキリのイラスト) (C) 無料で使える動物イラスト/マンガ調 http://animal-illustration.com/index.html


 「魚」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2008 RandDManagement.com