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魚の話  2008年10月24日
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うもれおうぎがにの話…


 高貴なる 紫扇に 惑わされ

  珊瑚礁に棲む毒蟹が次第に北上しているとの話があるようだ。
  素人が気軽に蟹汁にするのは考えものかも。


 石垣島に毒蟹が棲んでいることを、本(1)で知ったのは相当昔のこと。

 “牧場で、半自給自足の新婚生活に突入。動物たちに囲まれ、海で魚や貝をとり、畑で野菜を作って暮らすという生活に、日々悪戦苦闘”(「BOOK」データベース) している新婚のご夫婦のお話にその被害状況がでてくるのである。
 読む方は気軽な面白話にすぎないが、集中治療室入りになった位だから笑えるどころではない。まあ、二人だけの生活だからよかったが、今はそんな無茶はできまい。まあ、その辺りが南の島の生活らしく、読者を惹きつける訳だが。

 海辺の簡単料理といえば、出汁なしで、カニをぶつ切りにして煮込んで味噌を入れるだけの、調理技術ゼロの蟹汁だ。獲りたてのカニの美味しさだけの料理だが、蟹がいれば、つい獲って食べてしまうのはよくわかる。
 普通はガザミ系が使われるものだが、珊瑚礁の海(2)だとオウギガニになるようだ。
 問題は、そのなかに猛毒で有名なウモレオウギガニが入りがちな点。
 どうも美味しいらしいから、毒を飲み干したりしかねないのである。すぐ吐いて、完全介護してもらえれば、助かる可能性はあるという代物らしい。ただ、半自給自足に挑戦するようなタフな人の場合のようだが。

 まあ、珊瑚礁で真昼間にヒトに見つかってしまう生物など、毒でもなければ、遠の昔に絶滅している筈だ。注意を怠ったということだろう。

 尚、扇形をしていてハサミの先が黒い蟹には毒があるというのは俗説らしい。・・・という話を時々聞かされるが、これを親切心で危険性を喚起していると見ないこと。蟹料理を注文して出てきた大きなクラブの爪の先が黒かったらどうするの、という問題に対するお答えなのである。
 俗説を信じるか、それとも、現地の料理店の経験を信頼するか、迷うところだろう。

 --- 参照 ---
(1) 箕田律子: 「新婚旅行は無人島」 草思社 1989年
(2) 「沖縄の海の生物 V エビカニ類」 Maja http://kiichimaja.com/umi3/umi3.htm


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